【ご案内】

　アザレアのまち音楽祭における西岡氏のプログラムは、とてもポピュラーな演目が選ばれています。誰でもが知っている山田耕筰の歌曲、から始まり、日本を代表する作曲家武満徹の作品に至る日本歌曲の系譜を網羅するものです。そして何と言っても十八番の新倉健作曲の「けんかならこい」は圧巻です。どちらかと言えば日本の歌曲はしっとり、ねっとりの抒情的な曲が多いものですが、新倉氏の歌曲は現代人の感性を鋭く刺激するものを持っています。西岡氏のユーモアを内に秘めた歌唱によって、聴く者の心の襞を広げさせる力を持っています。アイロニーに富んだ作品も、西岡氏の手にかかると魔法のように心地よい歌に変わります。それでいて、ずっしりと心に残る音像には、深く感動させられます。武満徹のようなシニカルな要素を持った曲でも、人間の多面的な感情や表情をみせ、歌曲の持つ深い芸術性を感じさせます。