倉吉 アザレアのまち音楽祭
吉田章一バリトン・コンサート

Piano 兼田恵理子
2013年6月21日(金)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


 過去の演奏のご紹介

バリトン 吉田章一 (第30回アザレアのまち音楽祭2012コンサートより)
♪ 誰よりも素晴らしい人(シューマン) (wmaファイル 1.32MB 2分51秒)


第一部

@ 秘めた愛/アイヒェンドルフ ヴォルフ

A 少年鼓手/メーリケ ヴォルフ

B 散歩/メーリケ ヴォルフ

C 眠れる幼子イエス/メーリケ ヴォルフ

D 庭師/メーリケ ヴォルフ/

E 祈り/メーリケ ヴォルフ

F 隠棲/メーリケ ヴォルフ

G ある結婚式で/メーリケ ヴォルフ

H あばよ/メーリケ ヴォルフ
ヴォルフは、1860年にオーストリアのシュタイアーマルク州で生まれた作曲家・音楽評論家である。早くから音楽の天分が目立ちました。


第二部

@ この素晴らしき世界/ワイス ワイス

A サウンド・オブ・ミュージック/ハマースタイン2世、ロジャース

B エーデルワイス/ハマースタイン2世、ロジャース

C マリア/ソンドハイム作詞、バーンスタイン作曲

D トゥナイト/ソンドハイム作詞、バーンスタイン作曲

E さとうきび畑/寺島尚彦 作詞・作曲

F 白百合の花が咲く頃/宮沢和史作詞・作曲

G 海ゆかば/大伴家持作詞、信時 潔作曲


プロフィール

吉田章一

(よしだ あきかず)Bariton
 鳥取大学教育学部卒業。広島大学大学院学校教育研究科修了。声楽を小松英典、西岡千秋、佐藤晨、吉田征夫、平野弘子の各氏に師事。ソロ・コンサート、ジョイント・コンサートのほか、モーツァルトやフォーレのレクイエム、バッハのヨハネ受難曲、ヘンデルのメサイア、ベートーヴェンの第九等のソリストを務める。オペラでは、モーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」、新倉健「窓」に出演。特に2002年の国民文化祭オペラ公演「ポラーノの広場」では、主役のキューストを歌い圧倒的な成功をおさめた。2004年の再演では、更にバージョンアップしたキューストを歌い、全国レベルで通用する風格を見せた。また、特筆に価するのはドイツリートに対する造詣の深さと演奏力の高さである。既にCDリリースされているシューベルトの「冬の旅」は、高く評価されている。2010年10月韓国にてオペラ「電話」(メノッティ作曲)に出演。鳥取オペラ協会理事。

兼田恵理子

(かねだ えりこ)Piano
 武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。新田恵理子、コッホ・幸子の各氏に師事。アザレアのまち音楽祭においては、アザレア室内オーケストラと共演の他、ソロリサイタル等で参加している。現在,後進の指導にあたるとともに、声楽、器楽の伴奏者として各地で演奏活動を行っている。倉吉市在住。鳥取オペラ協会ピアニスト。


ご案内

 今年の吉田章一氏は、一部でヴォルフの歌曲を、そして二部ではミュージカルナンバーを歌います。一部のヴォルフは、吉田氏の得意とするところであり、私はいつも、ただ聴くだけで楽しむ習慣がついてしまっている。言葉の意味を超えたワーグナー的な陶酔感は、男女の機微を絶妙に歌おうと、勿体ぶった仕草に似て、風のようにただ吹いているだけに感じるのだ。歌詞と言う明確なメッセージがあるにもかかわらず、歌詞にとらわれない鑑賞が楽しめるヴォルフの音楽は、世紀末の倦怠感の表れかもしれない。
 ところで二部は、がらりと変わって、誰でも一度口ずさんだことのあるミュージカルナンバーが登場します。そして、なんとラストナンバーは「海ゆかば」を歌います。80歳以上の方であれば、戦前の戦果報告のテーマソングとしてラジオから流れていた曲だとピンと来るはずです。しかし、この曲は戦意高揚曲ではなく、『万葉集』の大伴家持の長歌の一節をとったものであり、荘厳な歌曲に仕上がっています。「君が代」もそうですが、日本人の最も深いところに巣ぐう精神の、真摯な発露として歌われるべきものだと感じています。今回のコンサートの白眉となるでしょう。その歌詞の大意は次のようなものです。「海で(戦いに)ゆくなら、水に漬かる屍ともなろう。山野を(戦いに)ゆくなら、草の生える屍ともなろう。天皇のおそばにこの命を投げ出してもけして後悔はしない。」と言うものです。作曲の信時潔は、万葉集に西洋楽曲をつける試みをしていますが、その内の一曲です。「わが君」と家持が時の天皇に献上した和歌であったため、戦争賛美の歌にすりかえられた経過があります。しかし、この曲は、あくまでも民間による民間のための楽曲です。この曲のおおらかさは、シューマンの擲弾兵と双璧になると感じています。どうぞお楽しみください。