山城裕子ピアノ・コンサート
2013年5月19日(日)14:00〜 倉吉交流プラザ 700円
第一部
@ベートーヴェン/ピアノソナタ第23番「熱情」
ベートーヴェンのピアノソナタ第23番ヘ短調作品57は、ベートーヴェンの作曲した23番目の番号付きピアノソナタである。「熱情(アパショナータ)」として有名で、ベートーヴェンの三大ピアノソナタの1つに数えられる。ベートーヴェン中期の最高傑作のひとつとして名高い。
第1楽章 Allegro assai ヘ短調。8分の12拍子。
ソナタ形式。主題は5対1の鋭い付点リズムであり、いわゆる「運命」の動機と対になって繰り返される。後にシューベルトが幻想ソナタ(ピアノソナタ第18番ト長調)で引用している。
第2楽章 Andante con moto - attacca 変ニ長調。4分の2拍子。変奏曲形式。
穏やかな主題と、それにかなり忠実な三つの変奏の後、主題が回想され、唐突に強い減七の和音が打ち鳴らされ、切れ目なく次の楽章に進む。主題の変奏は巧妙で変奏を感じさせない流麗さで演じられる。
第3楽章 Allegro ma non troppo - Presto ヘ短調。4分の2拍子。ソナタ形式。
熱情の奔流と呼ぶにふさわしい旋律が吹き荒れる。後半はまったく新しいリズムを持つ旋律が現れ、プレストに加速して激情の中で全曲を終える。
第二部
@ヘンデル/調子の良い鍛冶屋
『調子の良い鍛冶屋』は、ヘンデルの『ハープシコード組曲』第5番 ホ長調 HWV.430 の終曲「エアと変奏」に付けられた通称。楽曲は、イングランド伝統のディヴィジョン様式で構成され、エアに続いて5つのドゥーブルが連なり、変奏の度ごとに旋律もしくは伴奏の音価が細分化されてゆく。ヘンデル自身の歌劇『アルミーラ』(1704年完成)に、『愉快な鍛冶屋』の旋律主題に良く似た一節が含まれているので、ヘンデルは自分の旧作を使った可能性が高い。ベートーヴェンはこれと同じ旋律によって、オルガンのための2声フーガを作曲している。
Aショパン/エチュード作品10-3「別れの曲」
遅いカンタービレの練習で、右手が内声部を弾きながら、旋律の音量を維持しなければならない。日本においては、「別れの曲」の名で広く知られる。
Bグラナドス/アンダルーサ 作品37-5
1892-1900年。スペインの色彩やリズムが特色の曲集である。主にスペイン北部の民族舞曲が素材となっている。「アンダルーサ」はギター独奏の編曲や、後に歌詞をつけられた歌曲としても知られ、グラナドスの作品中もっとも有名なものである。
Cシマノフスキー/変奏曲作品3
ポーランドの作曲家(1882-1937)。印象派・新古典派の影響を受け、ポーランド音楽の近代化に貢献。オペラ「ロージェ王」、「協奏交響曲」など。シマノフスキーのピアノ曲というとM.ラウ゛ェルに匹敵する最高難度の技巧を必要 とする上、ショパンから受け継ぐ民族的音階も並存している恐ろしく困難な作品集である
プロフィール
山城裕子
(やましろ ゆうこ)Piano
鳥取県米子市出身。武蔵野音楽大学卒業。細田紀美子、八十嶋洋子、宮崎幸夫、ヤーノシュ・ツェグレディ各氏に師事。
1999年 エヴァ・アンダー(ベルリンハンスアイスラー国立大学)、 ローベルト・シュロット(ベルリン芸術大学)、 浮ヶ谷孝夫(フランクフルト国立管弦楽団首席客演指揮者)各氏にソロ及び室内楽を師事。
2002年 国際音楽コンクール(フランス) 第3位
2003年 マリーシェラン国際ピアノコンクール(フランス)プロフェッショナル ヴィルトゥオーゾ部門 第1位 ディプロム取得
1999年から、ヨーロッパでソロリサイタル、室内楽の演奏活動を多数行っており、新聞、テレビ等で報道される。また、フランス・コートダジュールの披露演奏会で絶賛される。ベルリン州立歌劇場のソリスト、メイヴェス、ラブジィルバーなどとも一緒に仕事を行う。
2004年帰国後、東京と米子で帰国リサイタルを開いたのを皮切りに、国内外でソロ、コンチェルト、室内楽、ジョイントリサイタル、講演活動など多数行なっている。また、2005年より鳥取大学非常勤講師も務める。
2012年米子市文化奨励章受章。
2012年3月 ドイツでフランクフルト国立管弦楽団と共演のほか、レコーディングマイスターの第一人者のハンケ氏とレコーディングし、ベラムジカ社レーベル(ドイツ)より2013年CD発売。
来月6/16(日)に、米子コンベンションセンターにて東京フィルハーモニー交響楽団とチャイコフスキーのピアノ・コンチェルトの共演予定。
ご案内
山城裕子氏のように、この山陰地区に在住しながら、国内はもとより海外にまで活動の場を広げている演奏家はまれだと思います。そして、何よりもその演奏レベルの高さは抜群であり、聴衆に聴くべき音楽のいのちを確実に届ける名人かもしれません。特に昨年度のコンサートでは、これまでアザレアのまち音楽祭が体験したことのない音楽の高みに聴衆を連れて行ってくれたと高く評価され、その素晴らしさが語られ始めています。音楽は、作曲家の描いた作品を再現するだけではなく、演奏家が音楽をどのように聴かせるかが問われるのです。山城氏の凄いところは、その聞かせ方をマスターしているところです。聴衆の欲しい音楽を、欲しているように届ける技術であり、正にプロの業なのです。今回のメインはベートーヴェンの「熱情」であり、どなたもがよくご存知の曲です。音楽をどのように作り上げ、どう聴かせてくれるか楽しみです。今年の6/16、東京フィルハーモニーとのチャイコフスキーのコンチェルトが予定されていますが、全く新しい体験をさせてくれるものと期待しています。