倉吉 アザレアのまち音楽祭
高旗健次ヴァイオリン・コンサート

Piano 長谷智子
2012年6月17日(日)14:00〜 倉吉交流プラザ 700円


 過去の演奏のご紹介
ヴァイオリン 高旗健次 (第25回アザレアのまち音楽祭2007コンサートより)
♪ ブラームス作曲ヴァイオリンソナタ第1番ト長調 (wmaファイル 1.4MB 3分)


第一部
@ ロマンス ヘ短調 作品11(A.ドヴォルザーク作曲)
1873年に作曲された「弦楽四重奏曲 ヘ短調」の第2楽章を1877年にヴァイオリンとオーケストラのための曲として作り変えた作品。ボヘミア色の濃い中、甘い旋律が響く。
A ロマンス ヘ長調 作品85(M.ブルッフ作曲)
心むせび泣く哀切な旋律や弦の響きが見事な作品。叙情、ロマンを奏でる弦は心を捉えて離さない。

第二部
@ スコットランド幻想曲(M.ブルッフ作曲)
スコットランド幻想曲変ホ長調 Op.46 は、マックス・ブルッフが1879年から1880年にかけて作曲したヴァイオリン独奏とオーケストラのための幻想曲である。
序章 グラーヴェ 変ホ短調 4/4拍子
静かな低音が響き、その上に甘美な、どこか物悲しいテーマがソロ・ヴァイオリンにより奏でられる。
第1楽章 アンダンテ・カンタービレ 変ホ長調 3/4拍子
 前の楽章がフェルマータによって終えるとすぐに一楽章に入り、スコットランド民謡の"Auld Rob Morris"(年老いたロブ・モリス)を基調としたメロディが奏でられる。
第2楽章 アレグロ 変ホ長調 2/3拍子
 一風変わって舞曲風の旋律となり、ソロ・ヴァイオリンが"Dusty Miller"(粉まみれの粉屋)をもとにした曲を奏でる。
第3楽章 アンダンテ・ソステヌート 変イ長調 4/4拍子
 "I'm a Doun for Lack O'Johnnie"(ジョニーがいなくてがっかり)をもとにした愛すべきメロディ。
第4楽章 フィナーレ アレグロ・グゥエリエロ 変ホ長調 4/4拍子
 "Hey Tuttie Tattie"([はやし言葉]), ロバート・バーンズの愛国的な賛美歌"Scots wha hae Wallace bled"(ウォレスとともに血を流したスコットランドの民よ)などが挿入されている。


プロフィール

高旗 健次

(たかはた けんじ)Violin
 広島大学卒業後、同大学大学院博士課程前期修了。ドイツ国立カールスルーエ音楽大学大学院芸術家養成課程、及び同大学大学院国家演奏家試験課程ソリスト科修了。ドイツ国家演奏家資格(Konzert-Examen)を取得。第22回〜第25回山陽学生音楽コンクール4年連続第1位。第31回北九州芸術祭に出演。文科省長期在外派遣研究員(ドイツ)1年間。元ドイツ・バーデン州立歌劇場オーケストラ嘱託団員(芸術監督:大野和士 時代)。ドイツでのリサイタルでは「楽曲における細部へのこだわりと内容豊かな全体構成力」、またオーケストラとの共演では「表現力の非常に高い巨匠的名演奏」との評価を得る(いずれもドイツ・バーデン新報紙)。帰国後は定期的にソロリサイタルを開催のほか、ドイツ国立カールスルーエ音楽大学教授のN.エアリッヒ氏とのジョイントリサイタル、東京音楽大学教授のチェリスト、D.フェイギン氏との室内楽リサイタル、オーケストラとの共演、ゲストコンサートマスターとして演奏会に出演、「ちかしアンサンブル」メンバーとして演奏会に出演、またグランドコンサートメンバー(トッパンホール・東京)として演奏会に出演、青森、鹿児島などでも演奏を行うなど、全国各地で意欲的な活動を行う。現在、広島大学准教授(大学院教育学研究科)。岡山フィルハーモニック管弦楽団嘱託団員。市原利彦、小島秀夫、故田中千香士、N.エアリッヒの各氏に師事。

長谷智子

(はせ ともこ)Piano
 名古屋市立菊里高等学校音楽科ピアノ専攻を経て、東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。1996年渡独。1999年ドイツ国立カールスルーエ音楽大学大学院リート(歌曲)科ピアノ専攻修了。ハルトムート・ヘル、白井光子両教授のもと、リート演奏法を中心に研鑽を積む。ドイツ各地にて多くのコンサートに出演し、当地の新聞紙上で「真の共演者として、歌手の声に完全に寄り添いながら、作品の音楽的内面を感受性豊かに浮かび上がらせた」など、高い評価を得る。1998年ケルン国際声楽コンクール公式伴奏者。2001年帰国後は全国各地でリート、室内楽等、アンサンブルを重点に活動中。声楽・器楽リサイタルでの共演多数。2008年には大阪アーティスト協会主催により、ソロリサイタル「作曲家シリーズ〜シューベルト」を開催。現在、京都光華女子大学短期大学部非常勤講師。


ご案内

 高旗氏は2008年まで島根大学の先生として在籍され、その間アザレアのまち音楽祭に継続してご出演いただいていた類まれな才能に恵まれたヴァイオリニストです。初登場以来、熱烈なファンが誕生し、そのレベルの高い演奏を心待ちにする聴衆の皆さんの支持がありました。2009年から広島大学の大学院の先生として赴任され、アザレアのまち音楽祭から姿を消してしまいました。そんな折、高旗氏のヴァイオリンが聴きたいとの声が澎湃と湧き上がり、広島からのご出演を依頼しましたところ、快諾していただけました。これで、4年ぶりのコンサートが実現するわけです。高旗氏ほどキャリアを積んだヴァイオリニストが、本当にボランティアのように参加していただける心安さに感謝するものです。ヴァイオリニストと言えば、かつて体験した「自惚れと自尊心ばかりが高く鼻持ちならない某楽団のコンマスのイメージ」が残る私の心には、高旗氏の謙虚で柔らかい人間性と力量の高さには、ほとほと感心せざるを得ません。「人間性で音楽は出来ない」と豪語し、唯我独尊で聴衆を説教し、スタッフに八つ当たりする愚かな音楽家が、プロだとほくそ笑む姿が今も続く中、誰が何と言おうと、高旗氏のヴァイオリンの方が素晴らしいと思っています。
 今回のプログラムは、ブルッフを中心にしたものですが、はったりのない、誠実な演奏が似合います。特に一部でドボルザークとブルッフのロマンスを演奏してくれますが、同じ音列を長調と短調で作られたものを並べる面白さは格別なものがあります。個人的にはブルッフのロマンスをよく聴いていましたから馴染みはあります。二部で演奏されるスコットランド幻想曲は、初めて体験するものであり、未知な土地への旅であり、楽しみにしています。