松田千絵ソプラノ・コンサート
Piano 稲毛麻紀
2012年6月15日(金)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円
第一部
@ 風に乗る (竹友藻風作詞/岡本敏明作曲)
昭和初期の美しい日本歌曲のひとつ。
A アマリリス(長崎 透作詞/中田喜直作曲)
最初に「アマリリス」と高い音ではじまる、情熱的な歌曲。
B さくら横ちょう(加藤 周一作詞/別宮貞雄作曲)
桜の木の下で、過ぎ去った淡い恋の思い出にひたっている。日本的な表現として歌舞伎の見栄を活用している。
C ゆく春(小野芳照作詞/中田喜直作曲)
日本的情緒にあふれる春の描写が美しい歌曲。
D 少年(三好達治作詞/諸井三郎作曲)
1931年作曲。夕暮れのまちの風景を描いた美しい詩に魅せられ作曲されたという。
E 夏(C.ロセッティ作詞/中村妙子訳詞/木下牧子作曲)
歌曲集「C.ロセッティの4つの歌」より第2曲。切なく美しく表現された曲集であり、合唱曲としても親しまれている。
F もう一度の春(C.ロセッティ作詞/岡田忠軒訳詞/ 木下牧子作曲)
歌曲集「C.ロセッティの4つの歌」より第4曲。切なく美しく表現された曲集であり、合唱曲としても親しまれている。
第二部
@ 帆かけ舟 (G.パスコリ作詞/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコ(1892-1977)はイタリアの作曲家。この曲は「七つの小さな歌曲」のひとつ。
A 不在(G.パスコリ作詞/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコが作曲したイタリア歌曲。「七つの小さな歌曲」のひとつ。寂しさが漂う歌曲。
B みなしご (G.パスコリ/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコが作曲したイタリア歌曲。「七つの小さな歌曲」のひとつ。
C 悲しい夜 (G.パスコリ/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコが作曲したイタリア歌曲。「七つの小さな歌曲」のひとつ。悲しみに涙流す女性の姿が思い起こされる。
D 雪の夜(G.パスコリ/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコが作曲したイタリア歌曲。「七つの小さな歌曲」のひとつ。静かに降り積もる雪の夜の情景が見えるような作品。
E 最後の歌 (G.パスコリ/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコが作曲したイタリア歌曲。「七つの小さな歌曲」のひとつ。
F 天使たちとともに(G.パスコリ/M.ペルシコ作曲)
マリオ・ペルシコが作曲したイタリア歌曲。「七つの小さな歌曲」のひとつ。明るく、天使たちが舞っているかのような歌曲。
G オペラ「愛の妙薬」より(G.ドニゼッティ作曲)
“さあ、あなたは私のために自由よ”
『愛の妙薬』(あいのみょうやく)は、ガエターノ・ドニゼッティが作曲、1832年に初演された全2幕からなるオペラ。
若く純朴な農夫ネモリーノは、美しく気位の高いアディーナに想いを寄せているが、全く相手にされない。彼は薬売りから「愛の妙薬(惚れ薬)」を買って何とかしようとする。恋のライバルである軍曹ベルコーレも現れ、焦ったネモリーノはさらに妙薬を買おうとベルコーレの軍隊に入隊してまで薬代を得ようとする。そのひたむきさに心動いたアディーナは、ベルコーレから買い戻した入隊契約書を彼に差し出して、「私のおかげであなたは自由よ」と語りかけ、「軍隊に行かないで故郷にいて欲しい」と訴えるのだった。
H オペラ「アンナ・ボレーナ」より(G.ドニゼッティ作曲)
“私の生まれたあのお城”
王妃アンナ・ボレーナの侍女を好きになってしまった国王は、アンナを投獄し、侍女を次の妻にしようとする。牢獄に入ったアンナは錯乱し、「私が生まれたあのお城へ連れて行って」と歌う。
I オペラ「椿姫」より(G.ヴェルディ作曲)
“ああ、そは彼の人か〜花から花へ”
パリの高級娼婦ヴィオレッタによるアリア。彼女は純真な青年に心惹かれ、彼こそただ一人の本当に愛する人ではないかと考える。しかし享楽的な生活を送ってきた自分にとって「馬鹿げたこと、それは儚い夢」と言い聞かせる。
プロフィール
松田 千絵
(まつだ ちえ)Soprano
島根大学教育学部特音課程声楽専攻卒業。白石由美子、中澤 桂、平野弘子の各氏に師事。これまでに鳥取オペラ協会公演「フィガロの結婚」「魔笛」「ポラーノの広場」「ドン・ジョヴァンニ」「アマールと夜の訪問者」「コシ・ファン・トゥッテ」に出演。ヘンデル「メサイア」(抜粋)、J.ラター「レクイエム」、ベートーヴェン「第九」のソリストもつとめる。そのほかアザレアのまち音楽祭でのコンサートや、また移動わらべ館童謡唱歌推進員として県内各地で童謡コンサートを行っている。鳥取県声楽オーディション審査員特別奨励賞、第16回日本声楽コンクール入選。現在、オペラ協会会員、移動わらべ館童謡唱歌推進員、西部演奏家クラブ会員。
稲毛麻紀
(いなげ まき)Piano
武蔵野音楽大学器楽科ピアノ専攻卒業後、お茶の水女子大大学院ピアノ演奏学講座修了。ピアノを新田恵理子、堺康馬、A.ウェーバージンケの各氏に師事。これまでアザレアのまち音楽祭のサロンコンサートやオープニング・コンサートのピアノ・コンチェルト等に出演。現在、合唱団のピアニスト、移動わらべ館童謡唱歌推進員、鳥取短期大学非常勤講師を務める。鳥取オペラ協会ピアニスト。
ご案内
松田千絵さんは、鳥取県を代表するプリマドンナのお一人です。声楽を学ぶのはスタートが遅く、早くて高校生になってからです。ですから、声楽家のピーク時は50代だともいわれるわけです。そんな意味で松田氏の進化はその途上にありますが、声の美しさと表現の変幻自在さには、目を見張るものがあります。オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」でみせた、秀逸な歌唱が今でも耳に残っています。まだまだ、子育てと格闘しながらの演奏活動ですが、更に声の艶が増し、ただ声を聴いているだけでも心躍るものがあります。
今回のプログラムは、一部に日本語による歌曲ばかりを集め、中田喜直から木下牧子まで邦人の人気作曲家の名曲が並んでいます。松田氏の日本語の発音は明瞭で分かり易いとの評価がありますが、サロンでこそ、その真価が問われます。二部では20世紀の作曲家「ペルシコ」の歌曲とオペラアリアが用意されていますが、いずれもイタリア語の歌ばかりです。日本語と言う子音が立たないと何を歌っているかわからない歌曲と、母音の響きが重要視されるベルカントの音楽をどのように歌い分けてくれるか楽しみです。しかし、松田氏の歌唱には、そのような垣根は存在しないと思わせる柔軟性があり、聴衆にとっては魅力たっぷりのコンサートになるものと思います。どうぞお楽しみください。