佐々木まゆみソプラノ・コンサート
Piano 兼田恵理子
2012年6月6日(水)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円
第一部
@ 浜辺の歌 (林古渓作詞/成田為三作曲)
美しい旋律と心に刻む歌詞によって、今なお愛される唱歌。秋田出身の成田為三は大正のはじめ東京音楽学校在学中にこの歌を作ったという。優美な旋律は人それぞれの浜辺の風景を思い起こさせる。
A からたちの花(北原白秋作詞/山田耕作作曲)
1925年(大正14年)に雑誌『女性』に発表された。耕筰は幼い頃養子に出され、活版工場で勤労しながら夜学で学んだ。耕筰は自伝において、工場でつらい目に遭うと、からたちの垣根まで逃げ出して泣いたと述懐している。この歌は耕筰のこの思い出を白秋が詞にしたものである。
B 椰子の実 (島崎藤村作詞/大中寅二作曲)
1898年(明治31年)作曲。島崎藤村が、友人の柳田國男から伊良湖岬に椰子の実が流れ着いたという話を聞き作ったという。流れ着いた椰子の実に、自分の故郷への思いを交え歌う、憂いの交じるロマンある作品。
C 初恋(石川啄木作詞/越谷達之助作曲)
初恋の胸の痛みやうずきが、砂粒が肌に触れる感触にたとえられた、みずみずしい歌。
D うぬぼれ鏡(小黒恵子作詞/平井康三郎作曲)
鏡を前に楽しそうに微笑む女性が見えるような、コミカルで華やかな歌。
E 落葉松(野上彰作詞/小林秀雄作曲)
軽井沢の自然を愛した野上が、昭和22年秋に書いた詩に、親交のあった作曲家の小林秀雄によって昭和47年に曲がつけられた。寂しさを漂わせながらも気品があり、心にしみじみ染みとおる歌。
第二部
@ くるみの木(シューマン作曲)
くるみの花々に見守られながら、やわらかい風に包まれてまどろむ少女…可愛らしく優しい曲。
A 献呈(シューマン作曲)
シューマンの26曲からなる歌曲集「ミルテの花」の第1曲で、クララとの結婚式の前日にクララに献呈された曲。クララへの愛情があふれんばかりに込められている。
B 蓮の花(シューマン作曲)
月夜の中に咲くはすの花がロマンティックに描かれている。
C 春の声(J・シュトラウス作曲)
ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「春の声」。初演はオペラの幕間にソプラノ歌手によって歌われたとあり、今でもしばしばコロラトゥーラ・ソプラノの歌声と共にコンサートに乗る。昼間のヒバリと夜のナイチンゲールの歌声を模しながら華やかな情景が歌われる。
D オペラ「連隊の娘」より(ドニゼッティ作曲)
さようなら!
孤児のころフランス軍の連隊の男たちに育てられたマリーだったが、伯母が見つかり、屋敷に引き取られることになる。連隊の男たちとの別れの際に歌われる曲。
E オペラ「連隊の娘」より(ドニゼッティ作曲)
フランス万歳!
孤児のころフランス軍の連隊の男たちに育てられたマリーだったが、伯母が見つかり、屋敷に引き取られることになる。マリーは昔の懐かしい軍隊生活の思い出にふける。その時、遠くから勇ましい太鼓の響きが聞こえてくる。「夢じゃないかしら!?」と喜ぶマリー。そして高らかに「フランス万歳!」と叫ぶのであった。
プロフィール
佐々木 まゆみ
(ささき まゆみ)Soprano
倉吉市在住。昭和音楽大学音楽学部声楽学科卒業、同大学音楽専攻科声楽学科首席修了。修了時学長賞受賞。これまでに生原幸枝、越賀理恵、田野崎加代の各氏に師事。04年奈良にて「トスティに捧げる歌曲コンサート」出演、「鳥取県出身アーティストによるコンサート」出演、05年鳥取オペラ新人公演「バスティアンとバスティアンヌ」バスティアンヌ役、鳥取オペラ協会ニューイヤーオペラガラコンサート出演。06年第二回声楽オーディションにて優秀賞受賞、鳥取オペラ公演「コシ・ファン・トゥッテ」出演、山陰の名手たちコンサート、こどもの楽園コンサート出演。07年総合芸術文化祭オペラ「春香」でタイトルロールを好演。08年オペラ「イソップ物語」太陽役。09、10年オペラ「フィガロの結婚」ケルビーノ役。11年新作オペラ「窓」出演、ソロリサイタル、第九ソプラノソリスト。06年よりアザレアのまち音楽祭コンサート出演。県内・外で精力的に演奏活動をしている。現在平野弘子氏に師事。鳥取オペラ協会会員。
兼田恵理子
(かねだ えりこ)Piano
武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。新田恵理子、コッホ・幸子の各氏に師事。アザレアのまち音楽祭においては、アザレア室内オーケストラと共演の他、ソロリサイタル等で参加している。現在,後進の指導にあたるとともに、声楽、器楽の伴奏者として各地で演奏活動を行っている。倉吉市在住。鳥取オペラ協会ピアニスト。
ご案内
佐々木まゆみさんは、昨年の12月に、アザレアのまち音楽祭のリサイタルシリーズの公演を終えたばかりです。倉吉市の生んだ素晴らしいソプラノ歌手であり、今まさに旬を迎えようとしています。昨年末にはオペラ出演、リサイタル、そして第九公演のソリストを務めるなど、多忙な演奏活動でキャリアを高めています。先回のリサイタルでは、持ち前の美しい声を存分に聴かせ、大きな感動をもたらせました。当日のライブ録音を聴いたニューヨーク在住の方より、「清らかな透明感のある声でいいですね。音感が良くて、すがすがしい。ビブラートも品がよくて気持ちいい。ベリーニの『ああ、幾たびか』、ベリーニの『気もはればれと』、この2つが特にすばらしかったです。目を見張るほどずっといい。オペラの方が向いているのでは…。レチ(recitativo/朗読調の歌唱)がうまいなあ。リリック(叙情的)な感じだから、技巧的な曲がいいかも。」との感想が寄せられていました。素晴らしいことです。音楽という目に見えないが確実に存在するものを、目に見えるフォルムとして感じさせる佐々木さんの歌唱は魅力たっぷりです。課題である歌曲を、今年はどこまで高めたかが期待されます。