ミニ・リサイタル・リレーコンサートB
木山亮子クラリネット・リサイタル
Piano 高垣 節
2012年6月3日(日)19:00〜20:00 倉吉交流プラザ 700円
第一部
@ ソナタ(フランシス・プーランク作曲)
●フランシス・プーランク(1899―1963)
フランス六人組の中の一人。1955年に没したアルテュール・オネゲルの追悼のためにベニー・グッドマンの依頼で1962年に作曲。皮肉にもプーランクが翌年に亡くなってしまい、プーランク最後の作品となった。初演は1963年カーネギーホールで行なわれたプーランク追悼演奏会においてベニーグットマンとバーンスタインのピアノで行なわれた。第一楽章は、まるで、突然の訃報に驚いているかの様に始まり、彼との楽しかった思い出に思いを巡らせているようにすすむ。第二楽章ではセンチメンタルになったり、悼みの慟哭をしたり。第三楽章では一変し、明るく元気に友を黄泉の国に送り出す。アメリカ・ニューオリンズのスタイルの、ディキシー・ジャズ葬でも、最後は明るく派手に送り出すスタイルがあるようだ。
本作品はプーランクの3つのソナタの一つであり、他にフルートソナタ(1956)、オーボエソナタ(1962)がある。
T Allegro tristamente
U Romanza
V Allegro con fuoco
第二部
@ クラリネット、ファゴットとピアノのための三重奏曲 変ロ長調 作品274(カルル・ライネッケ作曲)
●カルル・ライネッケ〔1824−1919〕
音楽家であった父(ヨハン・ベーター・ライネッケ)から音楽教育を受け,11歳のころにはピアニストとしてステージに立ち、13歳で作品1を作曲、18歳でのコペンハーゲンでの演奏会は大成功を収める。ライプツィヒに留学し研鑽を積んだ後、45年から欧州各地への演奏力を行なう。翌年にはコペンハーゲンのクリスティアン8世より宮廷ピアニストに命じられ(特にモーツァルトの名演奏家として知られる)、10歳余り先輩にあたるメンデルスゾーン、シューマン、リストらは一様に彼を賞賛.リストによれば、優雅なタッチ、歌うようなレガートが見事であったという。教育者としても素晴しく、ライピツィヒ音楽院では、その非凡な指導力は当代随一といわれるまでになる。ここでの門下生にグリーグなどのほか、明治33年、海を渡った滝廉太郎が目指したのも、ライネッケが院長を務めていたこの音楽院であった。シューマン、ブラームスと同じドイツの作曲家だが、彼らにはない自然な明るさと、しなやかで慈しみに満ちた感性が息づいている。これは個性であるだけでなく、人格というべきものであろう。ライネッケは感情の音楽ではなく感性の音楽というべきであろう。そこにはバッハやパレストリーナから受け継がれた古典的エッセンスを基調として、かのアンデルセンに共通するメルヘン性や、清明かつ構築的なデンマークの風土性が鮮やかに刻印されている。
T Allegro
U Andante
V Scherzo (Allegro)
W Finale:Allegro
プロフィール
木山 亮子
(きやま りょうこ)Clarinet
大阪音楽大学短期大学部、大阪音楽大学音楽学部器楽専攻卒業。クラリネットを杉山清香、本田耕一、長門由華、藤井由香の各氏に師事。卒業後、泉の森フレッシュコンサート他多数のコンサートに出演。2010年大阪遊音堂にて『室内楽の夕べ』に出演し、大阪フィルハーモニーのメンバーとウエーバー「クラリネット5重奏曲」を共演。2011年トリオ・ソナーレ(Pf、2Cl)を結成し、1stコンサートを開催。毎年、西宮阪急百貨店内ドレスショップ『タダシ』とコラボし、長門由華氏の門下生で結成するクラリネットアンサンブル「ロン・ポルタイユ」で『タダシ』の新作ドレスを着てコンサートを開催。好評を得る。大阪、神戸、西宮の各NHK文化センターにて講師の宮崎剛氏と「アンサンブルの楽しみ」と題して公開講座、サロンコンサートを多数開催。昨年から、大山寺 圓流院にて奉納演奏会を開く。ソロ、室内楽、吹奏楽、オーケストラと幅広く活動している。 Gratia Music School講師、トリオ・ソナーレ、ロン・ポルタイユのメンバー。
片寄 伸也
(かたよせ しんや)Fagotto
大阪教育大学、シュトットガルト音楽大学大学院、トロッシンゲン音楽大学大学院を卒業。ドイツから帰国後、大阪センチュリー交響楽団、京都市交響楽団など関西の主要オーケストラの客員奏者を務める。関西室内楽協会に所属し、島之内教会、天満教会に於いて年数回の室内楽コンサート、ジョイントリサイタルを行う。本山秀樹率いるバッハアカデミー関西にて通奏低音奏者も務める。現在、大阪芸術大学に於いて演奏助手を務める。大阪チェンバーオーケストラ所属。
高垣 節
(たかがき みさお)Piano
大阪音楽大学音楽学部ピアノ専攻卒業。同大学卒業演奏会に出演。卒業後、同大学教育助手を務める。在学中、松浦 豊明、アントン・ディコフ、エディット・ピヒト=アクセンフェルト各氏のレッスンを受講する。1997年、ドイツにて日独リーダー・クライス夏期講習会に参加。サヤリ・ダダス、フィリップ・モル各氏のレッスンを受け、修了演奏会に出演。櫟原 節、梅本 俊和各氏に師事。オペラ、歌曲をはじめアンサンブル等の伴奏にも定評があり、数多くの演奏会に出演している。現在、関西二期会関係ピアニスト。
ご案内
今年度のミニ・リサイタル・リレーは、アザレアのまち音楽祭に初お目見えの新人と、既にキャリアを積んだ方を4名ご出演いただきます。このリレーコンサートはリサイタル形式を採っていますが、規模が少しだけ小さいだけで、一般的なリサイタルとほぼ同じ内容です。ですから、それぞれの演奏家の皆さんを、じっくり聴いていただけるものと思います。
まず、最初にご紹介するのは、村岡苑子さんです。私は、村岡さんのチェロを聴いたことがありませんが、これまでのキャリアは大学一年生とは思えないものがあります。澤和樹氏の弦楽合奏合宿に参加していたとのことですので、もしかしたら、トゥッティで聴いていたかもしれません。今回のプログラムは、カサドの無伴奏組曲を一部に持ってきて、二部にブラームスを配置すると言うオーソドックスではあるが、かなり刺激的なものに成っています。若き俊才が、どのような演奏を私たちに聴かせてくれるか、大いなる期待をし、素晴らしい楽興の時をもたらしてくれることを楽しみにしています。
次にご紹介するのは、ピアニストとして既に活躍されている山本亜美さんです。山本さんは、倉吉市のリフレ・ミニコンサートの常連として、おおらかで闊達なピアノを聴かせていただいていますが、今回のプログラムはかなり大胆な構成になっています。アンコール・ピースと言われる誰でも知っている名曲の小品を、初っ端から並べ、いきなりリストの超絶技巧のプレリュードを聴かせていただくとは、若さあふれるものであり、好感が持たれます。そして二部ではしっとりしたプログラムで、聴く者を幽玄の世界に誘うものとなっています。大人の音楽を聴かせていただけるものと期待しています。
木山さんは、これまで大阪に於いて活動されてきたクラリネット奏者です。現在は日野町にお住まいであり、関西と米子地区を主な活動拠点とされています。先日、米子市で初めてお会いしたのですが、とても華奢な雰囲気を漂わせた方のようでした。ソロの演奏はまだお聴きしていませんが、演奏会のキャリアはかなりある方ですので、期待できると思います。特に今回は2部で、関西での仲間と共にアンサンブルを聴かせていただけます。
最後にご紹介しますのは、ソプラノの西本江里さんです。ソプラノと言うよりメゾ・ソプラノに近いではないかと思えるほど太い声の持ち主です。ですから、高音域での声に倍音が多く含まれており、力強さを持った響きがあります。リフレ・ミニコンサートにご出演いただき、その片鱗を聴かせていただきましたが、その可能性は大きいと感じています。今回は、一部に歌曲を、二部にオペラアリアをプログラムしていますが、聴きごたえのあるリサイタルになるものと楽しみにしています。
11:00〜12:00 @ 村岡苑子チェロ・リサイタル
14:00〜15:00 A 山本亜美ピアノ・リサイタル
16:00〜17:00 B 木山亮子クラリネット・リサイタル
19:00〜20:00 C 西本江里ソプラノ・リサイタル