倉吉 アザレアのまち音楽祭
新田恵理子ピアノ・コンサート
ゲスト:西川秀人

2011年5月22日(日)14:00〜 カウベルホール 700円


第一部
@パピヨン(蝶々)作品2(シューマン作曲)
ゲスト 西川秀人
シューマンが、ドイツの幻想詩人ジャン・パウル・リヒターの小説『生意気ざかり』からインスピレーションを受け作曲した作品。対照的な性格の双子が同じ女性に恋をし、仮面舞踏会の一夜に彼女がどちらを選ぶのか、という物語の終末部分を表現しようと試みた曲であるという。

A英雄ポロネーズ(ショパン作曲)
フレデリック・ショパン作曲の「ポロネーズ第6番変イ長調 作品53」。1842年作曲。ポロネーズの中で、軍隊ポロネーズ(第3番イ長調)・幻想ポロネーズ(第7番変イ長調)とともに有名であり、ショパンの曲の中でも人気が高い。複合三部形式。力強いリズムを持つ本作品は、ポーランドの栄光をたたえているとされ、ショパンの愛国心のあらわれと指摘される。

 他

B愛の夢 第3番(リスト作曲)
「3つの夜想曲(やそうきょく/ノクターン)」という副題を持つ、3曲から成るピアノ曲のうちのひとつ。当初はソプラノ向けの歌曲として作曲されたが、1850年頃に作曲者自身がピアノ独奏版に編曲した。 元々の第3番の歌詞は、ドイツの詩人フェルディナント・フライリヒラート(Ferdinand Freiligrath/1810-1876)の詩集「Zwischen den Garben」から「O lieb, so lang du lieben kannst!(おお、愛しうる限り愛せ)」の詩が用いられている。

C2つの演奏会用練習曲より
第2番 小人の踊り (リスト作曲)
1862-63年に作曲。数あるリストの「練習曲」のなかで最後に書かれた作品。いわゆる超絶技巧的な練習曲とは異なり、洗練されたピアノ語法が顕著である。スケルツォ風で、「小人の踊り」を表現したスタカートの主題と旋回するようなアルペジオの主題がからまり、クライマックスを盛り上げる。

第二部
@アンダンテと変奏 作品46(シューマン作曲)
1843年に作曲した楽曲。当初、2台ピアノとチェロ2、ホルン1という編成の室内楽曲として作曲された後、2台ピアノ用の曲に改訂された。ほとんどの箇所で、2台のピアノが同じ旋律を模倣し繰り返しながら進行する。

Aロンドハ長調 作品73 (ショパン作曲)
1828年に作曲した作品。生前には発表されず、遺作としてショパンの死後の1855年に出版された。
初めはピアノ独奏曲として書かれたが、作曲後すぐに2台ピアノの作品に編曲された。
走句と和声的な部分の対比からなる短めの序奏を経て、音階の上昇と下降を基調とした主題が現れる。明確に2つのエピソード主題を持つ。移行部ではイ短調となり、3連符の急速なパッセージとなり、そのままイ短調のエピソードへと流れ込む。ホ長調の経過句を経て、物悲しい旋律の第2エピソードへと続く。再現部はロンド主題が変ホ長調へ展開され、転調を経て、やがてエピソードが次はホ短調で再現される。3回目の再現は今までより短くなっている。コーダは3連符を基調としており、華やかに終結する。

Bハンガリー狂詩曲 第2番 (リスト作曲/リチャード・クラインミッシェル編曲)
1840年から約10年をかけて作曲した「ハンガリー狂詩曲」全19曲のうちの一曲。
当時ハンガリーで流行していたチャルダッシュ(ジプシー音楽と東洋系異民族の音楽が混ざり合ってできた音楽)をふんだんに取り入れている。魅力的な10の主題が次々と現れ、旋律の親しみやすさもあり、現在でも高い人気を博している曲である。


プロフィール

新田恵理子

(にった えりこ)Piano
 武蔵野音楽大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業 倉吉市在住。ピアノを故西岡光夫、長井充、徳川愛子、福井直敬、西川秀人の各氏に師事する。
 ソロリサイタル、室内楽、声楽・器楽の伴奏など、各地で幅広い演奏活動を行なっている。内外のオーケストラとの共演も数多く、そのうち、ザルツブルク室内オーケストラ、下北山弦楽オーケストラとのライブ録音が、カウベルホールよりCDリリースされている。
 後進の育成にも力を注ぎ、各地で門下出身の若手ピアニストが活躍している。全日本ピアノ指導者協会正会員、PTNAとうはくカウベルステーション代表、鳥取オペラ協会ピアニスト。ハーモニッシェの会主宰。

西川秀人

(にしかわ ひでと)Piano
 五歳よりピアノを始め故長岡敏夫氏、伊達純氏に師事。1976年東京芸術大学卒業。同大学院修士課程修了。1977年イタリア留学。国立ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院でヴィンツェンツォ・ヴターレ、レンツォ・シルヴェストリの両氏に師事。同音楽院卒業。第7回セニガリア国際ピアノ・コンクールで第一位入賞。その後イタリア各地でリサイタルを開催。1970年秋帰国。帰国後もリサイタルをはじめNHK-FMの録音、オーケストラとの協演など多方面で演奏活動を行っている。また、長年に渡り、松江市にてピアノ講座を開講。
 2005年、ジェイズミュージックよりCDソロアルバムがリリースされる。現在、東京芸術大学、愛知県立芸術大学、東京音楽大学各講師、全日本ピアノ指導者協会正会員。


ご案内

 新田恵理子さんは、昨年のショパン・アーベントに続いて2度目のカウベルホール公演となります。  今年の中心プログラムは、2台のピアノによるアンサンブルです。お相手は、東京芸大で教鞭をとるピアニストの西川秀人氏です。これまでにも幾度かアンサンブルを経験している方ですので、相性もぴったりです。地方に住まうピアニストが、キャリアを積むにはいろいろな方法がありますが、プロと共演するチャンスを多くするのがもっとも手っとり早いでしょう。かつて鳥取の音楽界をリードしたピアニストの「西川妙子氏」は、プロのヴァイオリニストやチェリスト、そして声楽家などを招聘してコンサートを開催し、とんでもなくレベルの高い演奏をものにしていました。
 新田さんも西川氏の取り組みに倣い、これまで複数のプロのオーケストラや室内楽との共演を重ね、名演をCDに残してきています。その中のいくつかは、カウベルホールがJA東伯の運営であり、クラシック音楽の殿堂として機能していた時代だったのです。現在は、琴浦町に移管され、貸館運営の単なる箱モノに成ってしまいました。そこで、室内楽ホールとして第1級の響きを持つカウベルホールの輝かしい伝統の灯を絶やしてはならないと、新田氏は孤軍奮闘しています。そして、カウベルホールの音楽拠点化を推進された故花本美雄氏の遺志を継ぐべく設立された「NPO法人花本文化振興会」の協力で、今回のコンサートが実現しています。再び、カウベルホールが活性化し、素晴らしいホールの響きがが生かされる運用を期待しています。
 カウベルホールの構想段階から想定されていた山陰道のインターチェンジが、カウベルホールの近くにやっと出来ました。交通の便も大変よくなりました。日曜日の午後、楽興の時を楽しみにお出かけいただきたいとお勧めいたします。