アザレア室内オーケストラ演奏会
Horn 小椋順二 / Piano 兼田恵理子
2011年5月8日(火)14:00〜 倉吉未来中心大ホール 700円
1、モーツァルト/ホルン協奏曲第2番 変ホ長調 K.417
独奏ホルン、オーボエ2 、ファゴット2 、ホルン2 弦楽合奏
モーツァルトが作曲した第1番から第4番までのホルン協奏曲のうちのひとつ。作曲年は1783年と推定されている。これらのホルン協奏曲は、モーツァルトの24歳年上の友人であり、ホルンの名手であったヨーゼフ(イグナツ)・ロイドケープのために作曲されたと考えられている。親愛の情を込め、モーツァルトは自筆譜に「モーツァルトがロイドケープを憐れみ、まぬけでとんまで阿呆な彼のために作曲」と書き入れるなど、気の置けない友人同士であったことが伺える。大らかな第1楽章、優美な中間楽章、活発で爽快な雰囲気のロンドで締めくくる第3楽章という様式は、以降のホルン協奏曲にも共通している。
第1楽章
アレグロ・マエストーソ、変ホ長調、4分の4拍子
第2楽章
アンダンテ、変ロ長調、8分の3拍子
第3楽章
ロンド、変ホ長調、8分の6拍子
2、モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
独奏ピアノ、フルート1、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、弦五部
モーツァルト自身の作品目録によれば、1786年3月2日に完成した作品。同年開催した春の予約演奏会のために作曲されたと考えられている。フルート・クラリネットを含んだまろやかな響きと、美しく表情に富んだ旋律を持つ作品である。
第1楽章 アレグロ イ長調 4/4拍子 ソナタ形式
型どおりの古典派の協奏ソナタ形式。オーケストラが提示した主題をピアノが繰り返す明快な形式である。展開部では、提示部の主題ではなく新しく導入された主題が使われる。
第2楽章 アダージョ 嬰ヘ短調 6/8拍子 三部形式
ゆったりとしたシチリアーノのリズムに基づいた旋律が歌われる。聴き手の心に迫る、物思いに沈んだように静かで短い曲である。
第3楽章 アレグロ・アッサイ イ長調 2/2拍子 ロンド形式
第2楽章とは一転して、喜びに満ち飛び跳ねるようなロンドになる。華やかなピアノが全面に押し出され、軽快な楽想が次々に現れる。
3、シューベルト/交響曲第7番ロ短調D759『未完成』
フルート 2、オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、ホルン 2
トランペット 2、トロンボーン 3、ティンパニ、弦五部
交響曲第7番ロ短調D759「未完成」(Sinfonie Nr. 7 in h moll D. 759 "Die Unvollendete" )はオーストリアの作曲家フランツ・シューベルトが1822年に作曲した未完の交響曲である。
なぜこの交響曲が第2楽章までしか完成していない『未完成』となったかについては諸説あり、今だ謎が多い。しかし、『未完成』でありながら完成されたような美しさを持っている曲である。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」と並んで三大交響曲とも呼ばれ、世界中で最も人気がある交響曲の一つとされている。
構成
第1楽章 アレグロ・モデラート ロ短調 4分の3拍子
冒頭から、何かを暗示したような低音弦楽器の旋律が響く。この旋律は単に序奏というものではなく、曲全体を形づくる重要なモチーフであり、楽章全体を統一するものとして度々登場する。オーボエ・クラリネットのロマンティックな第1主題を弦楽が支えながら第2主題に入る。第2主題では、伸びやかなチェロがシンコペーションに乗って歌われる。展開部は、冒頭の旋律が組み合わさり、劇的な盛り上がりを見せる。
第2楽章 アンダンテ・コン・モート ホ長調 8分の3拍子
ホ長調の明るさの中に、第1楽章の暗示的な雰囲気の影を見ることができる楽章。展開部のないソナタ形式という矛盾した名称で呼ばれるタイプの二部形式をとる。シューベルトの書いた最も美しいページの一つであり、深い叙情の世界がある。
指揮者プロフィール
松岡 究
(まつおか はかる)
1987年、東京オペラ・プロデュース公演「ビバ!ラ・マンマ」(ドニゼッティ作曲)を指揮しデビュー。その後、文化庁優秀舞台奨励公演で「蝶々夫人」(プッチーニ作曲)、「オテロ」(ロッシーニ作曲)を指揮。その他「ヘンゼルとグレーテル」「婚約手形」「カルメン」「椿姫」「ドン・ジョヴァンニ」「ハムレット」等の作品も高く評価されている。
新国立劇場には「恋は御法度」(ワグナー作曲)や「ハムレット」(トマ作曲)で既に登場しているオペラ指揮のベテラン。
鳥取県に於いてはミンクス室内オーケストラ結成以来継続して、すべてのコンサートに登場している。そして、これまで6回の第九公演、第九合唱団との共演によるモーツァルトのレクイエム、フォーレのレクイエム、バッハの「ミサ曲ロ短調」、ヴィヴァルディのグローリア、ヘンデルのメサイア等を手がけている。更に、鳥取オペラ協会設立の1999年以来、「フィガロの結婚」及びその再演、「魔笛」、国民文化祭オペラ公演の新作オペラ「ポラーノの広場」の初演、「ドン・ジョヴァンニ」と続き2004年には「ポラーノの広場」の再演も手がけている。一昨年の11月には、鳥取オペラ協会公演のオペラ「コシ・ファン・トゥッテ」を手がけるなど、県内のトップ公演を担っている。
なお、2005年からローム・ミュージック・ファンデーションによる特別在外研修として、ベルリンで3年間研修した。
ソリスト・プロフィール
小椋順二
(おぐら じゅんじ)Horn
鳥取県倉吉市出身。1996年大阪音楽大学卒業。大阪シンフォニカー交響楽団を経て1997年10月ドイツ国立ケルン音楽大学アーヘン校入学。在学中、アーヘン室内オーケストラ、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニーに在籍。2000年2月卒業。帰国と同時に仙台フィルハーモニー管弦楽団入団。2001年5月より京都市交響楽団に在籍。ホルンを三宅知次、D.ブライアント、R.アルメイダ、H.ツィーグラーの各氏に師事。京都ラビッシュ アンサンブル、シンフォニア・ホルニステン、リバスト・ブラスクインテットのメンバー。相愛大学音楽学部非常勤講師。
兼田恵理子
(かねだ えりこ)Piano
武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。新田恵理子、コッホ・幸子の各氏に師事。アザレアのまち音楽祭においては、アザレア室内オーケストラと共演の他、ソロリサイタル等で参加している。現在,後進の指導にあたるとともに、声楽、器楽の伴奏者として各地で演奏活動を行っている。倉吉市在住。鳥取オペラ協会ピアニスト。
オーケストラ・プロフィール
アザレア室内オーケストラ
泊村在住の医師「吉田明雄氏」が主宰するプロ・アマ混成の極めてハイレベルな室内オーケストラである。設立当時から指揮を担当するプロの指揮者「松岡究氏」の薫陶を求め、各地のオーケストラから参集したメンバーによって編成されている。よりレベルの高い音楽の追究をしたいと、音楽家としての自立を求めるアマチュア奏者にプロ奏者がゲスト参加して、素晴らしい音楽を紡ぎ出す限りなくプロに近い演奏集団である。
アザレア室内オーケストラ・メンバー
1st,Vn:吉田明雄、野村知則、益尾恵美、井上志保、北山三枝子/
2nd,Vn:永江佳代、藤原才知、岡野志穂、小林圭子、/
Va:足立淳、長田直樹、松永佳子、小西恵理/
Vc: 原田友一郎、須々木竜紀、中野俊也、、井上拓也/
DB:生田祥子、渡辺琢也、大津敬一/
Ob:古川雅彦、上代美樹/
Fl:稲田真司、古瀬由美子/
Cl:杉山清香、山田祐司/
Fg:木村恵理、橋本美紀子/
Hr:小椋智恵子、山根和也/
Tb:隅田 誠、楠見公義、松本弘一/
Tp:唐島有花、玉崎勝守/
Timp:福井蘭
Orchestra management:山根修子
ご案内
アザレアのまち音楽祭にアザレア室内オーケストラが初登場したのは、1990年の第8回のことですから、今年は21年目を迎えます。当時は倉吉福祉会館が改修され、ステージは広くなり、曲がりなりにも反射板(移動式)が設置された時期です。ちょうどそのころ、NHK鳥取放送局が、アザレアのまち音楽祭に興味を示し、様々な形で紹介してくださいました。その一環として、当時プロのオーケストラ(東京アカデミー室内合奏団)を招いたオープニング・コンサートをテレビで中継紹介していただいたことがあります。その翌年には、NHKの音響エンジニア(吉川氏)が、オーケストラを録音したいと申し出られ、祝祭オーケストラとしてスタートしたばかりの「ミンクス室内オーケストラ」を録音し、放送していただきました。その後、オーケストラの名称に「アザレア」と冠をかぶせて今日に至るオーケストラの成長が始まったのです。
1990年から1994年までは、モーツァルトの作品ばかりを取り上げていましたが、1995年に初めてベートーヴェンの「英雄」を演奏し、1997年に「田園」、1998年に「運命」2001年に「第2番」、2003年に「1番」2007年に「第8番」、2008年に「第7番」、2009年に「第4番」、そして昨年には再び「英雄」に取り組んでいます。次年度(2012年)には、室内楽による「第九」を予定していますので、ベートーヴェン・シリーズが完結する予定です。
その間にも、モーツァルトは「ジュピター」、「第40番」、「ハフナー」、「パリ」などの交響曲とピアノ協奏曲「第20番」、「第21番」、「第24番」「第16番」「第7番」、そして今年は「第23番」を予定しています。その他にもシューマンのピアノ協奏曲などの名演が目白押しであり、アザレア室内オーケストラの名声を培って来ました。
今回のソリストには、倉吉市出身のホルン奏者と、倉吉市在住のピアニストが登場します。まず始めに、一昨年のオープニングでモーツァルトのホルン協奏曲第1番を演奏していただき、とんでもなくハイレベルの演奏を聴かせていただいた京都市交響楽団の「小椋順二氏」を再び招聘します。今回は、ホルンの協奏曲中で最も名曲の誉れ高いモーツァルトの第3番を演奏していただきます。小椋氏のホルンは、若い頃から異彩を放ち、そのまろやかな音色の陰陽に満ちた表現に、心ふるわせられるものがあります。
更に、今回は地元在住のピアニストの兼田恵理子氏(旧姓中村)に、ピアノ協奏曲のソリストとして久々の登場をお願いしました。兼田氏と言えば、アンサンブル・ピアニストとして多くのソリストたちから熱い視線と絶大な信頼を得ている県内トップと目されている方です。アザレア室内オーケストラとの共演は、平成8年(1996年)にモーツァルトの第16番コンチェルト以来、15年ぶりのお目見えです。当時は大学出たての娘さんでしたが、その後結婚され、子育ても一段落された本年、満を持しての登場となります。その後15年間に積み上げた充実のキャリアが、モーツァルトの傑作をどのように聴かせてくれるか楽しみにしています。
来年度のアザレアのまち音楽祭のオープニング・コンサートでは、ベートーヴェンの第九公演を、初演時代のスタイルを踏襲しながら、音楽祭独自の公演を予定しています。その公演は、合唱に鳥取オペラ協会のソリスト・合唱団が総動員し、今まで聴いたことのない室内楽による第九を聴いていただく予定です。