【道谷増夫サックス・コンサート】
Piano
瀬川則子
2010年6月1日(火)19:30 倉吉交流プラザ 700円
第1部
@小さなこども(ドビュッシー作曲/道谷増夫編曲)
Aシチリアーノ(
P.ランティエ作曲)
Bスコットランド行進曲(ドビュッシー作曲/道谷増夫編曲)
Cヴァイオリン・ソナタ第3番
(G.F.ヘンデル作曲/M.ミュール編曲)
Dサクソフォーンのための変奏曲(道谷増夫作曲)
第2部
Eタランテラ(A.ボーカン作曲)
Fプロヴァンスの風景(P.モーリス作曲)
ポール・モーリス(Paule
Maurice, 1910年 - 1967年)は、フランスの女流作曲家。モーリスの作曲した楽曲の中で特に有名な作品が、1959年に作曲されたアルトサクソフォーンとピアノのための「プロヴァンスの風景」(Tableaux
de Provence)なのだ。この曲は、彼女と親交のあったサクソフォーン奏者マルセル・ミュールに献呈された作品。
Gスカラムーシュ(D.ミヨー作曲)
1937年作曲。ミヨーは20世紀初頭の「フランス6人組」の1人。フランス大使の秘書としてブラジルに滞在したことがあり、作品にもその影響が見られる。この「スカラムーシュ」はモリエールの喜劇によるこどものためのドラマ「空とぶお医者さん」のための付随音楽よりサクソフォーン用に編曲したもので、ジャズの影響もうけた明るい雰囲気で生き生きとした、非常にポピュラーな作品。
第1曲:Vif(ヴィフ)Vifとは「元気に、活発に」の意味で、ここでは題名のように用いられている。第2曲:Modere(モデレ)Modereも同様に音楽用語の「モデラート」と同じ意味で、3曲をひとまとめに考えた場合に緩徐楽章の役割を果たしている。第3曲:Brazileira(ブラジルの女)冒頭に「サンバのリズムで」とあり、激しいサンバのリズムで始まる。
プロフィール
道谷増夫(みちたにますお)Saxophone
サクソフォーンを福永博昭氏、手塚実氏、冨岡和男氏、阪口新氏、ダニエル・デファイエ(パリ国立音楽院)氏に師事。和声学、対位法を小林昭三氏に師事。島根大学教育学部特設音楽課程卒業後、東京芸術大学別科にて研鑽を積む。高校、中学教員を経て、アザレアのまち音楽祭コンサート、山陰の名手たちコンサートなどソロ演奏を中心に活動している。
瀬川則子(せがわのりこ)Piano
山口芸術短期大学ピアノ科卒業。中四国新人演奏会に出演。第6回
TYSコンクールピアノ部門にて最優秀賞受賞。山崎孝氏、勝谷寿子氏、小林峡介氏に師事。現在、歌唱、器楽の伴奏の他、「21の会」においてピアノデュオコンサートを定期的に行っている。岡野貞一記念合唱団ピアニスト。日本演奏連盟会員。
ディレクターのコンサート案内
道谷氏は作曲も手がける演奏家ですが、なんともお洒落で洗練された音楽作りが持ち味のようです。その理由は、彼がサクソフォーンを愛し、近代フランス音楽にのめり込んだためかもしれません。サクソフォーンはフランスで発明され、その音楽は近代音楽で大輪の花を咲かせたためかもしれません。ですから、サクソフォーンのオリジナル曲にロマン派や古典派の作品は皆無なのです。
今回は一曲だけヘンデルのヴァイオリンソナタのアレンジものを演奏しますが、後はサクソフォーンのためのオリジナル曲ばかりです。よほどサクソフォーン音楽が好きでなければ、聴いたことがないようなプログラムが今年の特徴です。ランティエ、ボーカン、モーリスなど名前さえ知りません。今回のメインとも言うべきスカラムーシュの作曲家D.ミヨーだけは、音楽年表の中でお馴染みだった程度です。しかし、道谷氏の音楽の語り口は、聴くものの耳に快く、聴きたいと思うように演奏してくれます。これは、もしかしたら道谷氏のマジックかも知れません。聴衆の吐息の場所、呼吸するタイミングを自分と同化させてしまうのです。これは、聴衆にとって音楽を聴く快感なのです。現代でサックスと言えばジャズやポップスバンドの花形ですが、人間の声に一番近いといわれるクラシカルのサクソフォーンの歌声は、私たちに音楽を聞く歓びをもたらしてくれます。どうぞご期待ください。