プレゼンター:藤井たけちか内科医院・綜合印刷出版株式会社
オープニング・コンサート
2009年5月10日(日)14:00〜 倉吉未来中心大ホール 700円
開会式典
式典音楽→ファンファーレ(ブレーメン)
アザレア賛歌独唱(小谷弘幸)
指揮(小谷敏彦)
オーケストラ・コンサート
アザレア室内オーケストラ演奏会
指揮/松岡 究 ソリスト/小椋順二・中嶋由紀子
プログラム
1)モーツァルト作曲/ホルン協奏曲第1番 ニ長調K.412+K.514
(386b)
ホルン/小椋順二
第一楽章Allegro、ニ長調、4分の4拍子
、第二楽章Rondo、Allegroニ長調、8分の6拍子の2つの楽章からなる作品です。特に第1楽章は、小学校の音楽鑑賞材料としても使われており、とても有名です。
管弦楽の編成は、オーボエ2本・ファゴット2本と弦楽合奏です。
「ロンド」の楽章については、もともと2種類の譜面が残されています。一方は、曲の構成は最後まで完成しているが、独奏パート以外(伴奏)のスコアの大部分が未完成のものです
(初稿)。もう一方は、スコア含めて完成しているものです(改訂稿)。
改訂稿のロンドについては、モーツァルトの弟子であるフランツ・クサーヴァー・ジュースマイヤーが、モーツァルト没後1792年に補筆完成させたものであると指摘されています。この説は、現在ほぼ定説となっており、この説の普及と共に、改訂稿のロンドは「ジュスマイヤー版」と呼ばれるようになっています。
2)ベートーヴェン作曲/ピアノ協奏曲 第5番 ホ長調 作品73
ピアノ/中嶋由紀子
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調は、1809年に完成した3楽章から成る協奏曲である。『皇帝』の別名で知られる。作品番号:73
。演奏時間:約40分。作曲時期:1808年に作曲に着手、1809年に完成。初演:1811年11月28日、ライプツィヒのゲヴァントハウスにて、ヨハン・フリードリヒ・シュナイダーのピアノ独奏による。
【構成】
急・緩・急の3楽章。第2楽章と第3楽章は続けて演奏され、ベートーヴェンのピアノ協奏曲では演奏時間・編成ともに最大の規模を誇る。
第1楽章 Allegro
変ホ長調 4分の4拍子 独奏協奏曲式ソナタ形式
慣例に反して、いきなりピアノの独奏で始まるが、提示部は伝統的な独奏協奏曲の様式に従い、まずオーケストラで提示してからピアノが加わる。第2主題は最初短調で示されてから本来の長調に移行するが、第1提示部(オーケストラ提示部)では同主短調の変ホ短調で示されてから本来の変ホ長調へ、第2提示部(独奏提示部)では遠隔調のロ短調で示されてから本来の属調(変ロ長調)へ移行する。コーダに入る所ではベートーヴェン自身により、カデンツァは不要である旨の指示がある。
第2楽章 Adagio
un poco mosso ロ長調 4分の4拍子変奏曲形式
(ヘンレ版では2分の2拍子)
穏やかな旋律が広がる。全体は3部からなっており、第3部は第1部の変奏である。第2部を第1部の変奏と取れば第2部が第1変奏、第3部が第2変奏の変奏曲形式だし、そう取らなければ第2部を中間部とした複合三部形式である。楽章の最後で次の楽章の主題を変ホ長調で予告し、そのまま続けて終楽章になだれ込む。
第3楽章 ロンド
Allegro 変ホ長調 8分の6拍子 ソナタ形式
同じ主題が何度も弾かれ、ロンド形式の風体を示しているのでロンドと呼んだのであろうが、完全にソナタ形式の要件を備えているので、ロンド風ソナタ形式と言った方がいいだろう。元気のよいリズムで始まる。再現部の前で第2楽章の終わり(すなわち第3楽章の提示部の前)の部分を回想している。終わり近くでティンバニが同音で伴奏する中で、ピアノが静まっていく部分が印象的である。
【作曲の経緯と初演】
ナポレオンがウィーンを占領し、ウィーン中が混乱に陥った1809年頃に作曲が開始されたといわれる。約1年後の1810年半ば頃に完成し、1811年11月28日にライプツィヒのゲヴァントハウスで初演された。初演の独奏者ヨハン・フリードリヒ・シュナイダーは地元の教会のオルガニストであった。1812年2月15日には、教則本で名高いカール・ツェルニーを独奏者に迎えてウィーンで初演された。これ以降、ベートーヴェンが没するまで演奏されることはなかった。
【曲名の由来】
『皇帝』という別名は、ベートーヴェン自身によりつけられたものではない。どのような理由から『皇帝』と呼ばれるようになったか、現在2-3つの説がある。この曲の曲想が、あたかも皇帝を連想させるからであるという説、古今のピアノ協奏曲の中でも、まさに皇帝と呼ばれるのにふさわしい規模・内容であるからという説などである。
編成 ピアノ独奏 フルート
2 オーボエ 2 クラリネット(B♭管) 2
ファゴット 2
ホルン(E♭管) 2 トランペット(E♭管) 2
ティンパニ
1対(B♭、E♭)
弦五部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
3)ベートーヴェン作曲/交響曲第4番 変ロ長調 作品60
ベートーヴェンの交響曲第4番変ロ長調
作品60は、1807年までに完成された交響曲である。シューマンが「2人の北欧神話の巨人(3番と5番のこと)の間にはさまれたギリシアの乙女」と例えたと伝えられている。
編成 標準の二管編成よりさらにフルートが1本少なく、ベートーヴェンの交響曲の中で最小である。
【構成】
第1楽章
Adagio 変ロ長調(実質は変ロ短調)4/4拍子
Allegro vivace 変ロ長調 2/2拍子
ソナタ形式(提示部反復指定あり)。暗い雰囲気の序奏から盛り上がり、主部に入ると一転して軽快な音楽が続く。注意して聞いてみると、開始部の序奏の音形進行は、第5番の開始の音形進行と同じなのが聞き取れる。
第2楽章 Adagio
変ホ長調 3/4拍 ソナタ形式。
クラリネットによる息の長い旋律が特徴的。
第3楽章 Allegro
vivace、トリオ(中間部)はUn poco meno Allegro
変ロ長調 3/4拍子 複合三部形式。
スケルツォであるが、楽譜にはスケルツォと明示されていない。全体は複合三部形式ではあるが、そのあとでトリオ全体と縮小された主部が繰り返されている。
第4楽章 Allegro
ma non troppo 変ロ長調 2/4拍子 ソナタ形式(提示部反復指定あり)。
16部音符の速い旋律が全曲を駆け回る。ファゴットによる主題の再現は難所。
ソリスト・プロフィール
小椋順二(おぐら じゅんじ)Horn
鳥取県倉吉市出身。1996年大阪音楽大学卒業。大阪シンフォニカー交響楽団を経て1997年10月ドイツ国立アーヘン音楽大学入学。在学中、Aachener
Kammer Orchester(アーヘン室内オーケストラ)、Junge
Deutsche Philharmonie(ユンゲドイツフィルハーモニー)に在籍。2000年2月卒業。帰国と同時に仙台フィルハーモニー管弦楽団入団。2001年5月より京都市交響楽団に在籍。ホルンを三宅知次、D.ブライアント、R.アルメイダ、H.ツィーグラーの各氏に師事。ラ・ビッシュ・アンサンブル、シンフォニア・ホルニステン、リバスト・ブラスクインテットのメンバー。
中嶋由紀子(なかしまゆきこ)Piano
倉吉市出身。武蔵野音楽大学を経て、同大学院終了。オーストリア国立グラーツ音楽大学に留学。97年、クロイツァー賞受賞。鳥取県人材発掘ピアノ・オーディション鳥取県知事賞受賞。関西フィルハーモニー管弦楽団と共演。また、2001年、2003年東京にてリサイタルを開催。これまでに、新田恵理子、永田順子、エレーナ・アシュケナージ、アレクサンダーザッツの各氏に師事。聖徳大学短大非常勤講師。
指揮者プロフィール
松岡 究(まつおか はかる)
1987年、東京オペラ・プロデュース公演「ビバ!ラ・マンマ」(ドニゼッティ作曲)を指揮しデビュー。その後、文化庁優秀舞台奨励公演で「蝶々夫人」(プッチーニ作曲)、「オテロ」(ロッシーニ作曲)を指揮。その他「ヘンゼルとグレーテル」「婚約手形」「カルメン」「椿姫」「ドン・ジョヴァンニ」「ハムレット」等の作品も高く評価されている。
新国立劇場には「恋は御法度」(ワグナー作曲)や「ハムレット」(トマ作曲)で既に登場しているオペラ指揮のベテラン。
鳥取県に於いてはミンクス室内オーケストラ結成以来継続して、すべてのコンサートに登場している。そして、これまで6回の第九公演、第九合唱団との共演によるモーツァルトのレクイエム、フォーレのレクイエム、バッハの「ミサ曲ロ短調」、ヴィヴァルディのグローリア、ヘンデルのメサイア等を手がけている。更に、鳥取オペラ協会設立の1999年以来、「フィガロの結婚」及びその再演、「魔笛」、国民文化祭オペラ公演の新作オペラ「ポラーノの広場」の初演、「ドン・ジョヴァンニ」と続き2004年には「ポラーノの広場」の再演も手がけている。一昨年の11月には鳥取オペラ協会公演のオペラ「コシ・ファン・トゥッテ」を手がけるなど、県内のトップ公演を担っている。なお、2005年からローム・ミュージック・ファンデーションによる特別在外研修として、ベルリンで3年間研修し昨年末、完全帰国した。
オーケストラ・プロフィール
アザレア室内オーケストラ
泊村在住の医師「吉田明雄氏」が主宰するプロ・アマ混成の極めてハイレベルな室内オーケストラです。設立当時から指揮を担当するプロの指揮者「松岡究氏」の薫陶を求め、各地のオーケストラから参集したメンバーによって編成されています。よりレベルの高い音楽の追究をしたいと、音楽家としての自立を求めるアマチュア奏者にプロ奏者がゲスト参加して、素晴らしい音楽を紡ぎ出す限りなくプロに近い演奏集団です。
アザレア室内オーケストラ・メンバー
1st,Vn:吉田明雄、曽田千鶴、佐倉伸一、野村知則、井上志保、北山三枝子/
2nd,Vn:永江佳代、益尾恵美、荒井ゆうき、矢尾真希子、/
Va:足立淳、長田直樹、松永佳子、山梨豪彦/
Vc:
原田友一郎、須々木竜紀、中野俊也、川元明子、井上拓也/
DB:生田祥子、渡辺琢也、大津敬一/Ob:古川雅彦、上代美樹/Fl:稲田真司、古瀬由美子/
Cl:杉山清香、山田祐司/Fg:木村恵理、橋本美紀子/Hr:小椋智恵子、石和田淳/
Tp:大場明夫、玉崎勝守/Timp:細田真平/
ご案内
昨年の暮れにベネズエラから来日公演した、今話題のデュダメル率いるSBYOV(ユース・オーケストラ)は、日本のクラシック界に旋風を巻き起こしました。これは、アマ・プロ問わず、オーケストラの在り方を示唆するものだったのかも知れません。彼等は決してプロと言う範疇ではなく、やがて演奏家として巣立つ学生たちの集団だったのです。技術的に最高のものを求め、その演奏の熱気は尋常ではなく、個々の奏者たちが自立した意思として、サヴァイブする音楽の迫力と満身の情熱がほとばしる姿が感動を呼んでいました。
ところで、昨年度、アザレアのまち音楽祭の素晴らしさを広報する目的で、「アザレアのまち音楽祭はこんなに凄い!」と、かなりセルフィッシュなタイトルをつけたCDを制作しました。未だ「アザレアのまち音楽祭」を体験されていない人に聴いていただく目的で「オーケストラ版」を作り、あちこちに配布したわけです。その内容は、これまでの「アザレア室内オーケストラ」の公演の中から、選りすぐりの2曲を収録したものです。それは、門脇大樹氏のハイドンのチェロ・コンチェルトとベートーヴェンの第一交響曲です。お聴きになった皆様からの賛辞は、異口同音であり、とても信じられないほど素晴らしいと賛辞をいただきました。私たちのアザレア室内オーケストラは、若い音楽家集団ほどの専門性を持たないまでも、その音楽をサヴァイブ(生きる)すると言う情熱と努力には、負けないものがあると自負しています。オーケストラの真髄は、それぞれの楽器がそれぞれの個性を最大限に発揮し合い、美しいハーモニーを作るところにあります。しかし、一つの楽器が不調であれば、全体のハーモニーが崩れるのです。そこが、アマオケの泣き所です。オーケストラ活動でわいわい言いながら、互いの失敗談を肴にし「みんな違ってみんないい」などと慰めあっているのは、横丁のご隠居さんの嗜みのレベルです。オーケストラは、それぞれが個々の特性とその良さを最大限に発揮した時、初めて「みんな違ってみんないい」となるのです。アザレア室内オーケストラのコンセプトが、他の親睦的な団体と異なるのはそこなのです。20年間プロの同じ指揮者で訓練され続けているのは、国内でも稀な存在です。そのメンバーも継続され、やがて淘汰され、優れた奏者が参加しはじめ、現在のアザレア室内オーケストラに至っています。
今回のコンサートは、倉吉市出身のホルン奏者「小椋順二氏」とピアニストの「中嶋由紀子氏」がソリストとして登場します。ご紹介するまでもなく小椋氏はアザレアのまち音楽祭の常連の演奏家でありプロ・オーケストラの団員です。待望されていたモーツァルトのコンチェルトが楽しみです。また、ピアノの中嶋氏は、2004年のアザレアのまち音楽祭のオープニング・コンサートに登場してベートーヴェンの2番コンチェルトを演奏し、圧倒的な感動をもたらせています。今回は5番「皇帝」に取り組んでいただきます。雄大なスケールを持ったこの曲に、中嶋さんの大らかな感性が合致して、これまでにない新しい世界が開かれるものと期待しています。オーケストラのメインは、今年もベートーヴェンです。アザレアのまち音楽祭で、ベートーヴェンの交響曲のすべてを演奏していただこうと願っていますが、今年は第4番です。なんと言っても聴き所は、2楽章のクラリネットのソロと4楽章のファゴットの再現部の導入です。それぞれ、とても巧い奏者が揃っていますから、期待が高まります。曲全体はとても美しいものですが、やがて5番に続くだろうフレーズが見え隠れします。
どうぞ、アザレア室内オーケストラの悦楽をお楽しみ下さい