第24回 倉吉 アザレアのまち音楽祭2006 ごあいさつ
平成18年4月
会長あいさつ
アザレアのまち音楽祭企画実行委員会 会長 金澤瑞子
かつて繁栄を誇っていた場所が、時代の波と共に、次第に、ひっそりと、人知れず衰えていくのは今にはじまった事ではありません。
人もまた、同じ運命をたどります。
アザレアのまち音楽祭が始まった頃にくらべ、倉吉の町並みはたしかに衰微しています。24年もたったのですから。
私を取り巻く、同じ舞台で悦びを分けあった人も、ひとり去り、また一人と、姿を消していきます。
若い人たち、子どもたちが今なにを望み、願っているのか、その姿も見えにくくなっています。
「アザレアのまち音楽祭」はその舞台を今年も一層ゆたかに、来年の25回も視野に、入念な準備が整えられました。
若い方を含めた、ぜひ多くの方々に、この「アザレアのまち音楽祭」に参加して頂きますことを、いま、切実に祈っております。
「まつり」は演ずる人と、観客を結ぶ舞台です。
[倉吉未来中心]がその舞台の中心となるためにも、多くの人の祈りの集いが必要です。
昔の「倉吉福祉会館」のように、市民から愛される「倉吉未来中心」となるためにも、今年もアザレアのまち音楽祭を応援してください。
どうぞ、普段着で、夕食の後、連れ立ってお出かけくださいますように、お待ち申しあげます。
平成18年4月
アザレアのまち音楽祭の中で人生の拠り所を見つけて欲しい
アザレアのまち音楽祭 芸術監督 計羽孝之
私たちは、美しいものに憧れます。美しい音楽を聴きたい人々は沢山います。ヒット・チャートに登場する音楽は、若者や子どもたちがこぞって愛聴しています。しかし、ヒット・チャートに縁の無いクラシック音楽というジャンルを提供しているのが「アザレアのまち音楽祭」なのです。クラシックとは、学校のクラスで扱うものという意味があり、つまり評価が定まった古典という枠が誤解を生んで多くの人々を遠ざけてきたのかも知れません。音楽は、どんなジャンルであろうと美しさを提供し、聴衆の美意識を映し出す鏡なのです。
現代の日本社会は、経済的な豊かさを持ちながら精神的に貧しく、人生に苦痛を強いられているようにも感じられます。そんな中で、今という時代は、本当の自分を見失い、美しい人生を生きることから逃れているのかも知れないのです。「自己自身を欲しない事は死に至る病である」と言ったのはキルケゴールですが、自分の夢を見失っても、自分の生きる道すじが見えなくても、それに気づかず何の不自由も感じないのが現代なのでしょうか。私たちは、大切な何かを失っているのかも知れないのです。「かもめのジョナサン」は私たちに美しいという生き方を教えてくれましたが、今は誰もかもめのことなど忘れています。
私たち人間は、何を求めて生きているのでしょうか。かつて、ギリシャ市民たちの生きると言う事は、自由な時間をこころ豊かに過ごす事であったと言われます。その豊かさは、現代の欲望渦巻く経済中心社会の中で、物質的に豊かな生活をおくることだと誤解されています。そして、経済的な豊かさを求める事が、即こころ豊かな生活を得ることだと錯覚し、折角得られた豊富な時間さえも見失いがちになっています。豊かな時間の流れに身をおくことが幸福だと分かっていても、人生の目的が未だに立身出世の方法としての仕事であったり、物質的な豊かさを得る手段が最大の喜びになっているのです。ですから私たちには、歪(いびつ)になってしまった「心の形」が見えないのかも知れません。
豊かな生活と言う「人生にとって積極的な時間」を、私たちは見つけなければなりません。私たちの住む社会では、仕事をしない事は怠惰だと言われます。しかし、ジョナサンの「美しいと言う生き方」から見れば、「人生にとって積極的な時間」を充実して過ごさないことの方が「怠惰」になるはずです。なぜなら、人間の尊厳にふさわしい美しい生き方を怠けていると言う事になるからです。
私たちは誰もが、「あの人の人生は芸術だった」と言わしめる美しい生き方をすべきなのです。有名無名に関わらず、認められようと認められまいと、美しい人生を生きる生活は、誰だって具現できるのです。その気になりさえすれば。美しい人生を歩むことを目指して自己表現し、己の美意識を磨き続ける人が芸術家であるのです。美しい人生を模索する生き方の実践者たちが、地域社会に増えることこそが、豊かな社会を作り出すのです。
音楽は人生の祈りなのです。音楽は私たちのこころに寄り添い、共に歩む力を持っています。音楽は、運がよければ私たちの心の奥深くに染み入って、何かを癒してくれるかも知れません。なぜなら、音楽は人が聴いて、初めて命を得るのですから。
アザレアのまち音楽祭のひと時が、市民の皆さんにとって「積極的な時間」となりますことを願っています。
平成18年4月
倉吉市長あいさつ
倉吉市長 長谷川 稔
若葉の鮮やかな季節となり、倉吉市の春を代表する行事のひとつである「第24回アザレアのまち音楽祭2006」の開催を迎えるにあたり、ひと言ごあいさいつ申し上げます。
「アザレアのまち音楽祭」は、厳選された地域の演奏者が、地元企業や市民の皆さんの支援を得て、倉吉文化団体協議会の力を結集し運営される音楽会として、長年にわたり多くの聴衆に感動と感銘を与えてこられました。これもひとえに関係各位のご尽力の賜物であると考えております。
本市は、今年度から始まる「第10次倉吉市総合計画」の将来都市像である“人と自然と文化がつくる「キラリと光る新中核都市」”の実現に向けて、市民と行政の協働によるまちづくりをすすめてまいります。
中でも、「若者の定住化促進」を重点課題として位置づけ、本市を担う若者にとって住みやすく、かつ、魅力あるまちづくりを進めることで、市内に住み続けてもらうという定住化を促進し、地域経済の活性化につなげていこうとするものです。
魅力あふれる文化が薫るまちであるためには、地域文化の主役である市民自身が直接文化に触れ、また創造する生活を送ることで、心の豊かさや生きがいを実感できる地域であることが、欠くことのできない大切な要素であります。
市民が主体となって開催される「アザレアのまち音楽祭」は、まさに地域資源を活用した倉吉の魅力のひとつであり、市としても効果的な支援を行いながら協働で推進して参りたいと考えているところであります。
最後になりますが、関係者の皆様方の今後益々のご活躍と、そしてアザレアのまち音楽祭の更なる発展を祈念してごあいさつの言葉といたします。
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