倉吉 アザレアのまち音楽祭
山城裕子ピアノ・コンサート

2012年6月5日(火)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


第一部
 過去の演奏のご紹介
ピアノ 山城裕子 (第29回アザレアのまち音楽祭2011コンサートより)
♪ 幻想即興曲(ショパン) (wmaファイル 1.4MB 3分)


@ ゴールドベルク変奏曲より 「アリア」(バッハ作曲)
ゴールトベルク変奏曲は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハによるアリアと様々の変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲。主題となるアリアを最初と最後に配置し、30の変奏が展開されている。マリアは3/4拍子 ト長調。出典はアンナ・マクダレーナ・バッハ曲集のフランス風サラバンドである。ただし旋律を用いた変奏ではなくバス声部と和声進行を用いた変奏であり、結果として統一感とバリエーションの豊かさが同居する作品となっている。
A ソナタ 悲愴 作品13より 第2楽章(ベートーヴェン作曲)
ピアノソナタ第8番ハ短調作品13『大ソナタ悲愴』は、ベートーヴェンが作曲した10番目の番号付きピアノソナタであり、初期を代表する傑作として知られる。ベートーヴェンの三大ピアノソナタにも含まれる人気曲である。
第二楽章は変イ長調。小ロンド形式。ベートーヴェンの最も有名なアダージョのひとつであり、さまざまな編曲も知られている。自身の後年の作品でも、交響曲第9番の第3楽章の主題がこの旋律と似ているほか、幻の作品といわれる交響曲第10番の冒頭部でもこの旋律が転用される計画があったとする研究もある。(これは、ベリー・クーバーによる補筆完成版などで実際に聴くことができる。) 中間部では、同主調の嬰ト短調(譜面上は同名短調の変イ短調)を経由してホ長調へ転調される。中間部で新たに提示された3連符の素材が再現部に持ち越される。
B 『ロメオとジュリエット』からの10の小品 Op.75より(プロコフィエフ作曲)
「モンターギュー家とキャピュレット家 」
バレエ《ロメオとジュリエット》(1936年)は、シェイクスピアの悲劇『ロメオとジュリエット』に基づく、プロコフィエフの傑作の一つ。このバレエをもとに、プロコフィエフは管弦楽用の3つの組曲と、ピアノ独奏用の《10の小品》を作った。この第6曲〈モンタギュー家とキャピュレット家〉(Allegro pesante)は、バレエの第1幕、第4場、舞踏会の音楽(No.13)の場面である。この場面で支配的な、重厚で威圧的な旋律は、騎士と貴婦人たちの舞踏の音楽。中間部(Moderato tranquillo)では、ジュリエットが、両親が結婚を勧める青年パリスと踊る、極めて美しく感傷的な旋律が聴かれる。
C ノクターン 作品9-2(ショパン作曲)
1831年に作曲され、翌1832年に出版された。甘美な旋律が特徴的な作品。12/8拍子。始終右手は装飾音で飾られた旋律を歌い、左手は同じリズムの旋律が繰り返される。旋律は再現のたびに装飾的に変奏され、ここにはショパンのイタリア・オペラの装飾的歌唱からの影響が見られる。
D 英雄ポロネーズ第6番変イ長調 作品53(ショパン作曲)
1842年に作曲し、翌年に出版。ポロネーズの中で、軍隊ポロネーズ(第3番イ長調)・幻想ポロネーズ(第7番変イ長調)とともに有名であり、ショパンの曲の中でも人気が高い。曲は複合三部形式で構成されている。

第二部
@ アストゥリアス(アルベニス作曲)
《アストゥリアス (伝説曲)》は、イサーク・アルベニスのピアノ曲の一つ。元来は、《旅の想い出》作品71の第1曲、前奏曲「伝説」(西語:'Leyenda')として書かれた曲である。アルベニス没後、《スペイン組曲( "Suite Espanola" )》の第1〜3曲、第8曲の手稿譜が発見されたが、残る第4〜7曲はタイトルしか残されていなかった。残された手稿譜を元に《スペイン組曲( "Suite Espanola" )第1集》作品47(1886年)が出版された際、第4〜7曲はアルベニスの他の作品が宛てられたが、第5曲アストゥリアス (Asturias)に宛てられたのが前出の前奏曲「伝説」(Leyenda)である。その後、原題よりアストゥリアスのタイトルの方がよく知られるようになった。

《スペイン組曲》の中でも最も印象的な楽曲の一つで、ギターのつまびきを模した忙しないトッカータ音型に始まる。途中に現れる、両手ユニゾンによる繊細で幽玄な旋律と、突然の大胆な気分の変化ゆえに名高い。
A 無言歌 作品19-1(メンデルスゾーン作曲)
1.ホ長調、アンダンテ・コン・モート 《甘い思い出》 (1831年作曲)。全体を流れるなめらかな16部音符の上に、抒情的な旋律がうたわれる。
B トルコ行進曲(モーツァルト作曲)
ピアノソナタ第11番イ長調K.331は、モーツァルトが作曲した3楽章構成のピアノソナタであり、この第3楽章が有名な「トルコ行進曲」である。この楽章だけが単独で演奏される機会も多い。
C 亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー作曲)
『亜麻色の髪の乙女』は、ドビュッシー作曲によるピアノのための前奏曲集である『前奏曲集第1巻』の第8曲目として収録された。他の曲と趣が異なり、調性もはっきり変ト長調に定まった旋律的で短い小品となっている。
D 月の光(ドビュッシー作曲)
「ベルガマスク組曲(全4曲)」の中の一曲です。1890年(28歳頃)の作品。「ベルガマスク」とは北イタリアのベルガモ地方の農民の生活という意味合いを持つが、このタイトル自体と作品が決定的に結びついているわけではない。
「月の光」は初年期のドビュッシーの秀作といわれ、曲の完成度の高さ、美しさに秀で、情感豊かに仕上がっている。
E ユモレスク(ドボルジャーク作曲)
ドボルザークが1894年に作曲した8つのピアノ曲集。特に第7曲(変ト長調)が有名である。また、クライスラーによってヴァイオリン用に編曲されたことで、多くの人に親しまれるようになった。
F 愛の夢 第3番(リスト作曲)
ロマンティックで甘美なメロディが優しく歌われますが、華やかでピアニスティックなフレーズが、リストらしく適宜に配置され、多くの人に愛される曲。
G ラ・カンパネラ(リスト作曲)
パガニーニによる大練習曲 第3番 嬰ト短調 『ラ・カンパネラ』。ラ・カンパネラとはイタリア語で「鐘」のこと。単に教会の鐘の音を描写しただけでなく、哀愁を帯びた主題と輝かしい技巧によって見事な効果が発揮される変奏曲で構成されている。


プロフィール

山城裕子

(やましろ ゆうこ)Piano
 米子市出身。武蔵野音楽大学卒業。細田紀美子、八十嶋洋子、宮崎幸夫、ヤーノシュ・ツェグレディーの各氏に師事。1999年渡独、エヴァ・アンダー(ベルリン・ハンスアイスラー国立音大)、ローベルト・シュロット(ベルリン芸術大学)、浮ヶ谷孝夫(フランクフルト国立管弦楽団常任指揮者)の各氏に師事。2002年国際音楽コンクール(パリ)第3位、2003年マリーシェラン国際ピアノコンクール(コートダジュール)プロフェッショナル・ヴィルトウゾ部門第1位。2004年帰国し、東京・米子で帰国記念リサイタルを開催。2005年、フランクフルト国立管弦楽団の日本公演ツアー米子公演でショパンのピアノ協奏曲を共演。現在、鳥取大学非常勤講師。


ご案内

 山城さんは、鳥取県在住のプロフェッショナルのピアニストです。人気実力ともに山陰で最も秀逸なピアニストだと思います。アザレアのまち音楽祭には2005年より出演していただいていますが、毎回聴衆に篤い感動をもたらせています。特に印象に残り、聴衆から絶賛されたのはムソルグスキーの「展覧会の絵」でした。その演奏の強靭な佇まいは、めったにお聴きできない確固たる表現意志を示したものであり、今も語り草になっています。ところで、今回のプログラムは、ドイツでCD録音される予定のアルバムを、そっくりそのままステージに載せて演奏すると聞いています。聴衆にとって聴きたいと思う曲が並べられ、プログラムを見ただけで、コンサートの満足が想定されます。こんなサービス精神が満載なコンサートを届けていただけるなど、アザレアのまち音楽祭にとって大興奮です。また、ベルリンで開催される山城氏のフランクフルト国立交響楽団との共演を、追っかけるツアーが組まれるなど、プロとしての活動は万全であり、米子の地に在住しながら国際的に大きな活動をされるのは素晴らしいことです。どうぞ、山城さんの充実したコンサートで、皆さんの「大切な時間」を豊かにされますようお奨めいたします。