倉吉 アザレアのまち音楽祭
小椋美香子ソプラノ・コンサート

Piano 稲毛麻紀
2011年5月28日(土)19:30〜 大栄農村環境改善センター 700円


第一部
@小さなものでもわたしをうっとりさせるものがあるわ (イタリア歌曲集より) (ヴォルフ作曲)
ヴォルフの「イタリア歌曲集」は計46曲の大歌曲集。繊細で親しみ深いメロディに、珠を転がすような美しいピアノ伴奏が入る。小柄な女性が自分のことを男性にアピールしている詩、にもとれる。

Aねずみとりのおまじない(メーリケ作詞/ヴォルフ作曲)
ヴォルフの初期の歌曲集(1888年3月出版)である、「女声のための六つの歌曲(6 Lieder fur eine Frauenstimme)」に収められた一曲。ねずみとりのおまじないの文句が歌われており、おまじないを唱える子供の天真爛漫さや、猫の鳴き声などが表現されている、愛らしい曲。

B妖精の歌(メーリケ作詞/ヴォルフ作曲)
メーリケ歌曲集より。「画家ノルテン」の劇中劇の第13景で妖精の子供たちが唄う歌。ドイツ語で11時を表す語と妖精を表す語が同じ言葉であるため、妖精の子供が夜回りの声を自分の名を呼んだと勘違いして目を覚ましてしまった、という歌。

C春の朝(リヒャルト・レアンダー作詞/マーラー作曲)
マーラー初期の歌曲。春の眠りの中にいる恋人をやさしく起こそうとしているような、繊細で可愛らしい曲である。

Dハンスとグレーテ (マーラー作詞・作曲)
マーラーの『若き日の歌 第一集』より。ゆったりとしたオーストリアの民族舞踊レントラーのリズムに乗せて、のどかで爽やかな音楽が繰り返される。

Eこの歌を作ったのは誰? (子供の魔法の角笛より) (マーラー作曲)
ルートヴィヒ・アヒム・フォン・アルニムとクレメンス・ブレンターノが収集したドイツの民衆歌謡の詩集『子供の魔法の角笛』に曲をつけたもののうちの一つ。ある女の人を好きになった男性のわくわく感が随所に表れている。

Fああ恋人よ、私はもう別れを告げて (フェリックス・ダーン作詞/R.シュトラウス作曲)
『素朴な歌』作品21より。別れの悲しみを、多少大げさとも言える嘆きの台詞で歌う。

G高鳴る胸 (ビーアバウム作詞/R.シュトラウス作曲)
『3つの歌』作品29より。微笑ましい田舎の少年少女の恋物語を爽やかなメロディにのせて歌う。

第二部
@朧月夜(高野辰之作詞/岡野貞一作曲/白川雅樹編曲)
1914(大正3)年『尋常小学唱歌 第六学年用』に初めて掲載された日本の歌。春の夜に、月がほのかに霞んでいる情景が歌われている。

A夏は来ぬ (佐々木信綱作詞/ 小山作之助作曲/白川雅樹編曲)
日本音楽協会の父と言われた小山作之助が作った曲に、国文学者で万葉歌人である佐々木信綱が詞をつけた作品。
ウツギの白い花の垣根でホトトギスが鳴くようすや、五月雨の降る田んぼなど、夏の到来を思わせる景色を歌っている。

B椰子の実 (島崎藤村作詞/大中寅二作曲/白川雅樹編曲)
1898年(明治31年)作曲。島崎藤村が、友人の柳田國男から伊良湖岬に椰子の実が流れ着いたという話を聞き作ったという。流れ着いた椰子の実に、自分の故郷への思いを交え歌う、憂いの交じるロマンある作品。

Cこの道 (北原白秋作詞/山田耕筰作曲/白川雅樹編曲)
山田 耕筰(1886- 1965)は、日本の作曲家、指揮者。日本語の抑揚を活かしたメロディーで多くの作品を残した。「この道」は、彼が北海道に旅をした時に訪れた時計台や、アカシアで有名な札幌の北一条通りの印象をもとに書いたとされている。

D赤とんぼ (三木露風作詞/山田耕筰作曲/白川雅樹編曲)
三木が1921年(大正10年)に、故郷である兵庫県揖保郡龍野町(現在のたつの市)で過ごした子供の頃の郷愁から作ったといわれ、童謡集「眞珠島」に発表された。その後、1927年(昭和2年)に山田が曲をつけた。秋の夕暮れの美しい風景を抒情感あふれるメロディーで奏でている。

E夕べの想い(カンペ作詞/モーツアルト作曲)
1787年、モーツァルトの父レオポルトが世を去った後の2ヶ月間に作曲された歌曲6曲のうちのひとつ。死への深い哀しみが繊細に表れている。

F私の胸は喜びにおどる(ダ・ポンテ作詞・モーツアルト作曲)
「フィガロの結婚」のソプラノ用挿入アリア。スザンナの喜びの心情を歌っている。挿入されたのは第2幕か、第3幕ともいわれる。

G歌劇<フィガロの結婚>第4幕から
とうとうその時が来た〜恋人よ早くここへ(スザンナ)(モーツアルト作曲)
スザンナが幸福な愛のときを夢見て歌う、いわゆる「バラのアリア」として有名である。スザンナのフィガロに対するやさしい、本当の愛が告白される。

H歌劇<後宮からの誘拐>第2幕から
大きな喜びに(ブロンデ)(モーツアルト作曲)
後宮に囚われたヒロイン・コンスタンツェと侍女のブロンデ。ブロンデはコンスタンツェの恋人ベルモンテが自分たちを救出に来たことを知って歓喜する。その喜びをコンスタンツェに知らせたいと歌う。


プロフィール

小椋美香子

(おぐら みかこ)Soprano
 作陽音楽大学声楽科卒業。同大学専攻科修了。オペラマイスタークラス研究生課程修了。
 船瀬幸子、西内玲、フォルカ・レニッケ、小松英典、吉田旅人、平野弘子の各氏に師事。
 2010年「フィガロの結婚」では4度目のスザンナ役を演じ、好評を得る。
 これまでの鳥取オペラ協会公演の「フィガロの結婚」「コジ・ファン・トウッテ」などのモーツアルトのオペラにおけるソプラノの主要な役を数多く演じる。華道家の伊藤喜秀氏と共に、花と歌のアフタヌーンコンサート。わらべ館の童謡・唱歌推進員としても県内外で「童謡コンサート」を行う。日野川合唱フェスティバルにも初回から連続して出演、ゲストコンサートを行う。又、FC企画のミュージカルのヴォイストレーナーとして後進の指導にもあたっている。エレクトーン奏者の寺崎淑子氏との童謡コンサート、アザレアのまち音楽祭、山陰の名手たち、等様々なコンサートに出演。
 NB合唱団指導者。 わらべ館、童謡・唱歌推進員。 鳥取オペラ協会理事。

稲毛麻紀

(いなげ まき)Piano
 武蔵野音楽大学器楽科ピアノ専攻卒業後、お茶の水女子大大学院ピアノ演奏学講座修了。ピアノを新田恵理子、堺康馬、A.ウェーバージンケの各氏に師事。
 これまでアザレアのまち音楽祭のサロンコンサートやオープニング・コンサートのピアノ・コンチェルト等に出演。現在、合唱団のピアニスト、移動わらべ館童謡唱歌推進員、鳥取短期大学非常勤講師を務める。鳥取オペラ協会ピアニスト。


ご案内

 小椋さんがソプラノとしての真骨頂を発揮するのは、オペラを歌う時だと確信しています。鳥取県で初めて地元歌手による本格的なオペラ公演が始まって以来、ほとんど毎年出演を果たしていますが、特に「フィガロの結婚」のスザンナ役は、絶妙な演技がその個性と合致して、なかなかの当たり役だと思います。これまでにも四度出演し、その個性に研きがかかっています。少し硬質なソプラノは、オペラでは華になりますが、サロンでは難しいのではと考えていましたが、聴いてみますとソフトなソプラノにはない凛とした声の立ち上がりが爽やかで、新しい発見をしたように思ったものです。アザレアのまち音楽祭のサロンに幾度かご出演いただきましたが、他の方とは一味違う楽しみを発見させていただきました。そして、小椋ファンが増えていき、今年のコンサートは北栄町にて開催することになりました。
 今回はサロンと違い小ホール公演であり、プログラムも工夫されています。第一部では小椋さんの声質にマッチしたドイツ語による歌曲であり、子音の明確な小椋さんにはお得意の歌曲です。特にマーラーの「子供の魔法の角笛」からの一曲には、個人的な思い入れがあり楽しみにしています。第二部は日本の童謡を現代的な編曲による曲とモーツァルトのオペラ・アリアが用意され、ダイナミックな歌唱も楽しんでいただけます。小椋さんの歌声、そしてアンサンブル・ピアノの雄「稲毛麻紀さん」との拮抗する音楽作りの現場に立ち会われ、喜びを共有されますよう、お勧めいたします。