6/18 山城裕子ピアノ・コンサート

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【山城裕子ピアノ・コンサート】

2010年6月18日(金)19:30 倉吉交流プラザ 700円

第1部

@ロミオとジュリエット ピアノのための10の小品より

「モンタギュー家とキャプレット家」作品75(プロコフィエフ作曲)

ロシア作曲界の巨星セルゲイ・プロコフィエフの《ロメオとジュリエット》は、20世紀のバレエ作品として現在もなお人気が高く、またオーケストラのために編まれた組曲も大変好まれ、演奏され続けている作品。バレエの初演は1938年ですが、バレエに先立って、1937年に作曲者自身の演奏により初演されたのが、このピアノ独奏のために編曲された〈10の小品〉Op.75です。今回の「モンタギュー家とキャプレット家」は、その6曲目の曲。

Aソナタ第2番 作品36  (ラフマニノフ作曲)

ラフマニノフはロシアのロマン派音楽を代表する作曲家として、敬愛していたチャイコフスキーやリムスキー=コルサコフなどの影響を受けつつ独自の作風を築き上げた。特徴として、教会の鐘の響きを思わせる重厚な和音や、半音階的な動きを交えた息の長い旋律、正教会の聖歌やロシアの民謡の影響などが指摘されている。またグレゴリオ聖歌の『怒りの日』も彼のお気に入りのモティーフで、主要な作品の多くにこの旋律を聴くことができる。2番のソナタにもその旋律が聞こえたりする。この曲は、ラフマニノフが完成させた2つしかないピアノ・ソナタのうち、最後の作品である。

第2部

@スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31(ショパン作曲)

A春の歌 作品62-6(メンデルスゾーン作曲)             

 『春の歌』は、メンデルスゾーンによるピアノ独奏のための作品集『無言歌集』の中の1曲。メンデルスゾーンの『無言歌集』とは、ドイツ語の原題で『Lieder ohne Worte(言葉のない歌)』と表記されているが、1巻ごとに6曲収められ、それらが全8巻で合計48曲の「無言歌」が存在している。

Bバラード 第2(リスト作曲)

リストはピアノ独奏のバラードを2曲書いているが、特に何かの物語について音楽にしたと言うわけではなく、詩的で劇的な叙情を盛り込んだ作品としているだけ。リストの2曲のバラードの内、圧倒的に演奏される機会の多いこの第2番は、あの有名なロ短調ソナタが完成された1853年に書かれた充実した作品。曲は、大きく息の長い男性的な旋律と優美で可憐な女性的な旋律が対照的に現れ、半音階やオクターヴなどの様々な技巧に混じって、幻想的で激しく劇的に広がっていくのが魅力。

プロフィール

山城裕子(やましろ ゆうこ)Piano

米子市出身。武蔵野音楽大学卒業。細田紀美子、八十嶋洋子、宮崎幸夫、ヤーノシュ・ツェグレディーの各氏に師事。1999年渡独、エヴァ・アンダー(ベルリン・ハンスアイスラー国立音大)、ローベルト・シュロット(ベルリン芸術大学)、浮ヶ谷孝夫(フランクフルト国立管弦楽団常任指揮者)の各氏に師事。2002年国際音楽コンクール(パリ)第3位、2003年マリーシェラン国際ピアノコンクール(コートダジュール)プロフェッショナル・ヴィルトウゾ部門第1位。2004年帰国し、東京・米子で帰国記念リサイタルを開催。2005年、フランクフルト国立管弦楽団の日本公演ツアー米子公演でショパンのピアノ協奏曲を共演。現在、鳥取大学非常勤講師。

ディレクターのコンサート案内

 山城さんのピアノは、すっかりアザレアのまち音楽祭の、顔のひとつとして定着したようです。確かな演奏力とプロとしての毅然とした姿勢には、ピアノを志す方々の範となるものがあります。

いつも山城さんは、演奏依頼に対して即座に了解されます。その姿勢は、地方にあっても演奏家としてのスタンスを維持するには、必須の条件だと思います。しかし、聴衆を選んでいるような方も多々ありますが、それらの方はアマチュアというアマえんぼうに過ぎないだけのことだと思っています。残念ながら、この地方にも、そんな方は存在しますが、山城さんのように自立した芸術家としての立場を明確に持った演奏家は、確実に育ち、他にも大勢いることも確かです。ですから基本的に、アザレアのまち音楽祭へのご出演は、喜んで参加していただける方のみで構成しています。

自信をもって皆様に紹介できるのは、そのためです。そんな意味で、山城さんのピアノは山陰を代表するとも言えるのです。毎年、リサイタルに順ずるコンサートを続けているピアニストが、どれだけ存在するでしょうか。毎年のレパートリーを考えただけでも、それを暗譜することを考えただけでも、並みのピアニストに出来るはずがありません。幸いな事に、山陰地区にも山城さんの後塵を拝するような演奏家が生まれつつありますので、アザレアのまち音楽祭は安泰だと喜んでいます。

 今回のプログラムは、プロコフィエフ、ラフマニノフ、ショパン、リストと、何とも豪華なメインディッシュが用意してあります。山城さんの明確な音楽語法が生きるプログラムであり、大いに楽しみにしています。