倉吉 アザレアのまち音楽祭
第32回 倉吉 アザレアのまち音楽祭2014
ごあいさつ

平成26年3月

人生にとって積極的な時間

アザレアのまち音楽祭 芸術監督 計羽孝之


 鳥取県倉吉市の市花であるツツジの花が咲き乱れる5月、倉吉の街にはクラシック音楽の美しい調べが聴こえ始めます。倉吉未来中心大ホールでの室内オーケストラ公演を皮切りに、地域在住・出身の演奏家たちが集うのです。中心となるコンサートは、70席のサロンを会場とする器楽、管弦楽、邦楽、声楽などのコンサート、また、大型ショッピングモールの広場に響く吹奏楽…等など。5月上旬〜6月下旬の薫風さわやかな季節、倉吉の街は音楽の都となるのです。
 この「アザレアのまち音楽祭」を始めて、32回目を迎えます。「今年もこの季節が来たわねえ」と、颯爽と全公演を鑑賞できるパスカードを受付に差し出す常連のお客様、お誘い合わせていらっしゃるご婦人方、お仕事帰りと見受けられる背広の男性、さまざまなお客様が音楽祭にいらっしゃいます。そのひとりひとりを笑顔でお迎えし、できうる限りのベストな環境で音楽を鑑賞していただけるよう、毎年心を砕いております。
 かつて、古代のギリシャ市民たちにとって生きると言う事は、自由な時間を心豊かに過ごす事であったと言われます。しかしその「豊かさ」は、「衣食足って礼節を知る」の言葉に倣い、経済中心社会の物質的な豊かさがもたらす生活のことだと誤解されたままです。経済的な豊かさが、心の豊かさを担保すものではありません。生活の質と心の豊かさ、精神的な充足感を求めることこそ、「人生にとって積極的な時間」が、私たちにもたらされるのです。私たちの住む社会では、仕事をしない事は怠惰だと言われます。しかし、「美しいと言う生き方」から見れば、「人生にとって積極的な時間」を充実して過ごさないことの方が「怠惰」になるはずです。なぜなら、人間の尊厳にふさわしい美しい生き方を怠けていると言う事になるからです。しかし、「貧すれば鈍する」人間の多さは、現実の社会では日常茶飯事かも知れません。美しい人生を生きる生活は、誰だって具現できるはずです。美しい人生を歩むことを目指して自己表現し、己の美意識を磨き続ける人が芸術家であるのです。美しい人生を模索する生き方の実践者たちが、地域社会に増えることこそが、豊かな社会を作り出すのではないでしょうか。





平成26年3月

地元に縁ある音楽家の
「質の高い演奏」を鑑賞する機会!


倉吉市長 石田 耕太郎


 春の訪れとともに、今年も「アザレアのまち音楽祭」が盛大に開催されますことを心よりお喜び申しあげます。
 第32回を迎えた「アザレアのまち音楽祭」は、市民自らが企画運営する市民音楽祭として歴史を重ね、今や、多くの市民が開催を心待ちにしている文化芸術イベントとなりました。関係各位の多大なるご熱意とご尽力に深く敬意を表する次第であります。
 さて、本年の音楽祭は、5月のオープニングコンサートに始まり、6月末のファイナルコンサートまで、計28回にわたって多彩な出演者による公演スケジュールが組まれております。その多くは、県内を中心として活動中の音楽家による演奏であり、市民にとりましては、身近な場所で地元に縁ある皆さんによる質の高い演奏を鑑賞する機会となることもあり、大変楽しみにしているところであります。特に、近年では、演奏者に若手の音楽家を積極的に起用され、次代を担う世代にとりましても絶好の発表の舞台となっており、また、より幅広い年齢層に関心を寄せていただくことで、音楽祭のさらなる発展につながるものと期待しております。
 音楽をはじめ、素晴らしい芸術に多く触れ、日々の生活にゆとりや安らぎを感じることは、人生を生きる楽しみとなり、人生を豊かなものとし、さらには心豊かなまちづくりにも結びつくものと考えています。そのためにも本市における文化芸術活動が益々盛んとなり、市民一人ひとりにとって芸術が身近なものとして文化芸術の輪が広がっていくことを願っています。
 結びに、この音楽祭のご盛会と関係各位のご健勝を祈念してお祝いのご挨拶といたします。