倉吉 アザレアのまち音楽祭
ミニ・リサイタル・リレーコンサート

2013年6月2日(日)11:00〜 倉吉交流プラザ 各コンサート700円


【1】11:00〜12:00 加藤文女ピアノ・リサイタル


第一部
@無言歌 作品19 第1番 ホ長調「甘い思い出」 (メンデルスゾーン)
アルペジオ伴奏によるゆったりとした甘美な旋律の曲で<無言歌>の代表的なスタイルの一つである。

A映像第一集(ドビュッシー)
ドビュッシーがいわゆる印象主義的な作風をピアノ曲で確立したのが<映像>である。純粋にピアニスティックなソノリティ(ひびき)の開発などが、<映像>の2つの集を生んだドビュッシー中期の特色である。
第1曲 水の反映
漂うような和音によって水面にチラチラ光る風物の反映を感覚的にとらえている。精妙なアルページョを伴って、水鏡の透明さや絶えず伸縮する光と影の戯れを音に置き換えたのである。ドビュッシーも≪和声という化学における最も新しい発見≫をとり入れたと自負していた。
第2曲 ラモー讃
ドビュッシーが讃美してやまなかったジョン・フィリップ・ラモー(1683〜1764)に捧げた音楽の捧げものであるが、同時に16〜17世紀のフランス古典音楽へ対する深い愛情と敬意を表わしたものである。荘重なひびきの中にメランコリックな気品をたたえた心の歌がきかれる。
第3曲 運動
陽気な3連符の反復によって一種の無窮動を構成している。現代音楽におけるリズムの支配を予告するようなドビュッシーとしては新しい傾向を示す作品である。


第二部
@前奏曲 作品23-12 嬰ト短調(ラフマニノフ)
作品32の全曲の中でも、とりわけ際立った印象を与える作品。ほの暗い光の中でテノールが悲しみの物語を語り、ソプラノがそれに応える。下降する四音符の音型がバスにつながり、それは次第に力を増して主部を再現させる。

Aスペイン舞曲 作品37-5「アンダルーサ」(グラナドス)
<スペイン舞曲集>全12曲のうち、最も名高く美しいとされているのが、この「アンダルーサ」である。スペインの中でも特に南国的で、同時に東方の色が濃い土地といわれるアンダルシアへの思いが、哀愁帯びたピアノで歌われる。

B演奏会用アレグロ(グラナドス)
ギターを模したような右手の華麗なアルペジオが特徴的なスピリトーソの主部に続いて、ショパン風のメランコリックなポコ・メノ・モッソ、めまぐるしく変化を続けるソナタ形式による作品で、ピアノの超絶技巧がふんだんに盛り込まれている。


 
【2】14:00〜15:00 西谷友里サクソフォン・リサイタル Guitar 伊達俊文

 過去の演奏のご紹介
サクソフォン 西谷友里 (2012年2月15日リフレミニコンサートより)
♪ リベルタンゴ(ピアソラ) (wmaファイル 1.59MB 3分26秒)

第一部
@サクソフォーンソロのためのソナタ/ジャニーヌ リュエフ作曲
 T.Allegro
 U.Adagio
 V.Prestissimo
ジャニーヌ・リュエフ(Jeanine Rueff、1922-1999)は、フランスの女流作曲家。主に室内楽、独奏曲の分野で活動した。
この曲は、著名なサクソフォン奏者の一人であるダニエル・ディファイエに献呈された、無伴奏アルト・サクソフォンのための曲。無伴奏の古典的作品としてはサクソフォンの重要なレパートリーの一つである。

第二部
@タンゴの歴史より /アストル ピアソラ作曲
 T.Bordel 1900 (ボーデル)
 V. Nightclub 1960 (ナイトクラブ)
「タンゴの歴史」は1986年にフルートとギターの構成で作曲された。4楽章構成でタンゴ変遷の歴史を1900年から30年毎に区切って描かれている。
タンゴとクラシック音楽の融合で知られるピアソラだが、当時、その独創的な音楽は「踊れないタンゴ」としてあまり評価されなかったようだ。現在ではタンゴの音楽を発展させた功績が高く評価され、数多く演奏されている。

A映画「ミッション」より ガブリエルのオーボエ
映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネによる名曲のひとつ。モリコーネはNHK大河ドラマ「武蔵」のメインテーマを手掛けた事でも有名である。映画「ミッション」は、1750年から58年までの南米を舞台に、先住民にキリスト教を布教しようとする宣教師たちのお話。ガブリエル神父が先住民との出会いの場面で演奏した曲で、とても印象的なメロディが特徴的である。

B美しい夕暮れ /ドビュッシー作曲
ドビュッシー初期の歌曲作品。ポール・ブルジェの歌詞がついていて、水面に映る夕陽、生きることの喜びと人生の終わりなどについて、写実的に描かれている。
人の声に近いといわれるサクソフォンで美しいメロディをお聴きください。


 
【3】16:00〜17:00 重道博世ピアノ・リサイタル

 過去の演奏のご紹介
ピアノ 重道博世 (第29回アザレアのまち音楽祭2011コンサートより)
♪ ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35(ショパン) (wmaファイル 2.61MB 5分38秒)

第一部
@ロンド ニ長調 (モーツァルト)
アレグロの4分の4拍子、ニ長調で書かれている。主要なテーマは、主和音と属和音の構成音をなぞる簡素なものを主体としている。しかし、そこに前打音を付加したり、弾むようなリズムで仕立てたりすることにより、明快でかわいらしいメロディーを生み出している。左手は分散和音を主体としているが、この左手が低音域でメロディーを歌う場面もある。尚、このロンドは、主要テーマが主調以外でも提示され、音楽の形式論で一般的なロンド形式よりはソナタ形式に近い構成となっている。

A幻想ポロネーズOp.61(ショパン )
「ポロネーズと表題されているが、所々にポロネーズ的リズムが見えるだけで、構成的には幻想曲に近い。実際、ショパンは当初この曲の題を「幻想」としており、ポロネーズとしてではなく幻想曲として作曲していた。複雑な和声と自由な形式をもつ独創的な作品で、ショパンの単一楽章作品としては大規模作品。

第二部
@プレリュード Op.3-2(ラフマニノフ)
この曲は、ラフマニノフの最も有名なピアノ曲の一つ。全部で5曲からなる《幻想的小品集》作品3に収録されている。全部で62小節しかなく、典型的な三部形式をとっている。

A音の絵 Op.39-1,2,9 ( ラフマニノフ)
絵画やロシアの古いおとぎ話からのインスピレーションや作曲家自身の内的インスピレーションによる情景的かつ叙情的な密度の高い作品です。これらの作品は単なる超絶技巧的な練習曲ではなく、音による絵画的表現も意図されています



プロフィール

加藤文女

(かとう あやめ)Piano
大阪芸術大学 音楽教育学科(ピアノ専攻)卒業。ピアノを三窪涼子、島畑斉、宮前勝代、新田恵理子氏に師事。2000年ウイーン夏季音楽講習会において、A.イエンナ−氏のマスタークラスに参加。鳥取オペラ協会での稽古ピアニスト、岡山室内オペラにおいて、指揮者フォルカー・レニッケ氏の元でコレペティトゥーアの研鑽をつみ、研究発表会等に出演。
現在、ソロ、伴奏などの演奏活動や、後進の指導を行っている。NB合唱団ピアニスト、鳥取オペラ協会会員。倉吉市在住。

西谷友里

(にしたに ゆり)Saxophone
 倉吉市出身。昭和音楽大学 音楽学部 器楽科サクソフォン専攻卒業。在学中学内演奏会等に出演。サクソフォンを永野忠芳、福本信太郎に、室内楽を新井靖志、福本信太郎の各氏に師事。また、ジャズサクソフォンを山田拓児氏に師事。現在は演奏活動の他に、音楽教室で指導している。

伊達俊文

(だて としふみ) Guitar
 1981年よりギターを始め、様々なジャンルのバンドに参加、数多くのステージに出演する。2012年はボーカリストTomi Isobeのジャパンツアーにギタリストとして参加した。現在、島村楽器音楽教室ギター科講師。米子市在住。

重道 博世

(しげみち ひろよ)Piano
 倉吉市出身。武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。第16回カウベルピアノコンクール優秀賞、第28回ピティナピアノコンペティションデュオ中級本選優良賞。第26回アジア国際音楽コンサートオーディション銅賞。これまでピアノを尾坂俊恵、西川秀人、A.v.アルニム、J.ダムガード、丸山淑子の各氏に、リート伴奏法を子安ゆかり氏、室内楽をC.ドル氏に師事。現在、トミヤ楽器店と自宅教室にて後進の指導にあたりながら、精力的に演奏活動も行っている。


ご案内

 ミニ・リサイタルコンサートは、アザレアのまち音楽祭に初登場する方々を、一度に紹介しようというのがその目的です。今回は、ベテランでありオペラ伴奏で力量の高さを示している加藤文女さん、倉吉市出身の若きサキソフォン奏者西谷有里さん、そして、2011年度以来2度目となる重道博世さんが登場します。
 加藤文女さんは、鳥取オペラ協会発足時より、練習ピアニストとして参加され、これまで1999年及び2001年の「フィガロの結婚」、2002年の国民文化祭オペラ「ポラーノの広場」、2006年の「コシ・ファン・トゥッテ」等々に参加されています。特にモーツァルトのオペラは、音楽語法をマスターするには欠かせないものであり、オペラ参加の中で大きく力量を高められました。昨年の3月、倉吉市勤労青少年ホームのリフレ・ミニコンサートに登場し、ソリストとしての大器を見ることになりました。今回はお得意のスペイン音楽が聴きものだとご案内いたします。
 サキソフォンの西谷さんは、昭和音楽大学で学ばれた新進気鋭の演奏家です。昨年の2月に倉吉市勤労青少年ホームのリフレ・ミニコンサートに登場し、クラシカル・ナンバーからポピュラーまで演奏して頂いています。今回は、メインとなる現代の作曲家の作品と、サックスの音色を生かしたリベルタンゴ、ドビュッシーなどよく知られた名曲を披露して頂きます。
 ピアノの重道さんは、一昨年の初登場以後、様々な場でのコンサートを積み重ね、自分の音楽語法を模索しています。先ごろ聴かせていただいたバッハでは、堀の深い表情を見せるパルティータや、ラフマニノフのイメージを押し出すような演奏でしたが、今回もまたラフマニノフが用意されています。更に磨きのかかった演奏を期待しています。
11:00〜12:00 @加藤文女ピアノ ・リサイタル
14:00〜15:00 A西谷友里サキソフォン ・リサイタル
16:00〜17:00 B重道博世ピアノ・リサイタル