倉吉 アザレアのまち音楽祭
寺内智子ソプラノ・コンサート

Piano 新田恵理子
2012年6月22日(金)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


 過去の演奏のご紹介
ソプラノ 寺内智子 (第28回アザレアのまち音楽祭2010コンサートより)
♪ トスティ歌曲よりAprile「4月」 (wmaファイル 1.39MB 3分)


第一部
@ いとしい人よ(ジョルダーニ作曲)
イタリア・ナポリ出身の作曲家、トンマーゾ・ジョルダーニ(1730-1806)の作品。作詞者は不詳。愛する女性に対し自分のことを思ってくれるよう、切なく願う歌。
A 愛する人のそばにいることは(ローザ作曲)
サルヴァトール・ローザ(1615- 1673)は、イタリア・ナポリ出身のオペラ作曲家。また、画家にして詩人でもある。
「愛する人のそばにいること、それは一番すばらしい愛の歓びである」という、素直な愛の歌。
B 君が私の死を(アレッサンドロ・スカルラッティ作曲)
イタリアのバロック音楽の作曲家で、特にオペラとカンタータの作曲で知られるアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)の作品。1697年にナポリで初演された正歌劇と言われる「十人委員会の凋落」(La caduta de'Decemviri)の中のアリア。歌詞の内容は強い決意を語っているが、曲は静かで落ち着いた、優美な旋律である。
C オペラ「リナルド」より(ヘンデル作曲)
「この私を苛酷な運命に泣くがままにさせて」
ヘンデル作曲のオペラ「リナルド(RINALDO)」の第2幕に登場する有名なアリア。敵の魔術師に捕らわれた女性アルミレーナが恋人を想って自分の悲運を嘆くシーンで歌われる。
D オペラ「アリオダンテ」より(ヘンデル作曲)
「飛びまわれキューピッドたち」
騎士アリオダンテはスコットランド王女ジネヴラと婚約し、王位も約束されている。一方、ポリネッソ公爵は王位とジネヴラの両方を手に入れようと、自分を慕うダリンダを利用し、姦計を用いてジネヴラに不貞の罪を着せようとしているのだが…。この曲は、ジネヴラを待っているアリオダンテの元に彼女が現れ、愛の二重唱を歌い抱擁し、王が現れて二人を祝福する場面で歌われる。ジネヴラは有頂天になって「飛びまわれキューピッドたち」を歌って立ち去る。
E オペラ「エジプトのジューリオ・チェーザレ」より(ヘンデル作曲)
「私は涙するでしょう、自分の運命に」
クレオパトラのアリア。弟のエジプト王によって幽閉の身となったクレオパトラが歌い、嘆く。
F オペラ「ジュスティーノ」より(ヴィヴァルディ作曲)
「よろこびと共に会わん」
第一幕第八場で、東ローマ(ビザンチン)帝国皇帝アナスターズィオ(アナスタシウス:ジュスティーノ(ユスティヌス)の父)が歌うこのアリアは、『ジュスティーノ』のアリアの中でも飛びぬけて優れたアリアのひとつ。情感深い旋律は心に深く染みとおる。

第二部
@ ふるさとの(石川啄木作詞/平井孝三郎作曲)
石川啄木の短歌に美しいメロディを乗せ、故郷を思う心を歌う。
A うぬぼれ鏡(小黒恵子作詞/平井康三郎作曲)
鏡を前に楽しそうに微笑む女性が見えるような、コミカルで華やかな歌。
B オペラ「夢遊病の女」より(ベッリーニ作曲)
私にとって夢のような日〜気も晴れ晴れと
山村の旅館。旅館に村人たちが集まり、水車小屋の娘アミーナと地主エルヴィーノの婚約を祝っている。アミーナが養母テレーザと現れ、皆に挨拶して、喜びを華麗に歌うアリア。
C オペラ「ノルマ」より(ベッリーニ作曲)
清き女神
『ノルマ』(Norma)は、ヴィンチェンツォ・ベッリーニが作曲、1831年に初演された全2幕からなるオペラである。主役を歌うソプラノ歌手にとって最も難度の高いオペラの一つと考えられている。
ソプラノのアリア「清らかな女神よ」(Casta Diva、カスタ・ディーヴァ)は特に有名であり、リサイタルなどで単独で歌われることも多い。
時は紀元前50年頃、舞台は現在のフランス周辺にあたるガリア地方。このときローマ皇帝カエサルによってガリア地方は征服され、ガリアの民衆はローマの圧政に苦しんでいた。民衆はローマとの戦いを望み、巫女ノルマの伝える神のお告げを待っていた。ローマの将軍でガリア地方を統治するポリオーネは密かにノルマとの間に2人の子供をもうけていたが、既に気持ちは若い尼僧アダルジーザに移っており、彼女をローマに連れて帰りたいと考えている。ガリアの民が月の出を待ち、祈りを捧げる中、静かにノルマが現れ《清き女神》を歌い月の女神に祈る。

その他


プロフィール

寺内智子

(てらうちともこ)Soprano
 大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。同専攻科終了。声楽を天野春美、E・ラッティ、伊藤京子各氏に師事。関西二期会研究生を経て、1998年イタリアへ留学。M・フェラーロ氏によるマスタークラス受講。イタリアにてオペラ「ラ・ボエーム」ミミ役、「カプレーティ家とモンテッキ家」ジュリエッタ役を歌い好評を得る。帰国後も、神戸アーバンオペラ「フィガロの結婚」スザンナ役をはじめ「愛の妙薬」「カルメン」「魔笛」「ポラーノの広場」「沈黙」などのオペラに出演。第29回イタリア声楽コンコルソ金賞、第20回飯塚新人音楽コンクール大賞、第12回ABC新人オーディション最優秀賞を受賞し外山雄三指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団と共演。第16回宝塚ベガ音楽コンクール第2位、神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、鳥取県声楽オーディション県知事賞等受賞。2006年、鳥取県知事賞受賞者コンサートで関西フィルハーモニー交響楽団と共演。日本演奏連盟会員、関西二期会、鳥取オペラ協会会員。

新田恵理子

(にった えりこ)Piano
 武蔵野音楽大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業 倉吉市在住。ピアノを故西岡光夫、長井充、徳川愛子、福井直敬、西川秀人の各氏に師事する。ソロリサイタル、室内楽、声楽・器楽の伴奏など、各地で幅広い演奏活動を行なっている。内外のオーケストラとの共演も数多く、そのうち、ザルツブルク室内オーケストラ、下北山弦楽オーケストラとのライブ録音が、カウベルホールよりCDリリースされている。後進の育成にも力を注ぎ、各地で門下出身の若手ピアニストが活躍している。全日本ピアノ指導者協会正会員、PTNAとうはくカウベルステーション代表、鳥取オペラ協会ピアニスト。ハーモニッシェの会主宰。



ご案内

 今や3人の坊やのお母さんとなられた寺内氏は、豊かな情愛と家族に囲まれた幸せの時間を物しておられることでしょう。ますます声に艶が増し、伸びのある高音も美しさを輝かせています。久々に昨年のオペラ公演で見せた歌唱の確実さと、表現力の高みは、かつてないほどの感動に誘うものでした。
 今年のコンサートは2年ぶりの登場であり、聴衆の待望に応えるものです。一部ではベルカントの名曲たちをうたい、二部の最初に平井康三郎の歌曲をセットしています。その中でも特に2曲目の「うぬぼれ鏡」は聴きものです。25周年記念コンサート時に、岐阜から招聘した「近藤治子氏」が逸品として紹介した曲であり、図らずも6/6の佐々木まゆみさんも同じ曲を歌います。佐々木氏にしても、寺内氏にしても「うぬぼれ鏡」にはならない美貌のもちぬしですが、ウイットに富んだ表現になることは間違いないでしょう。そして最後にはお得意のオペラアリアが続き、寺内氏の魅力を堪能されることでしょう。