倉吉 アザレアのまち音楽祭
吉田章一バリトン・コンサート

Piano 兼田恵理子
2012年6月13日(水)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


 過去の演奏のご紹介
バリトン 吉田章一 (第29回アザレアのまち音楽祭2011コンサートより)
♪ メンデルスゾーン作曲ハイネ作詩/新しい愛 (wmaファイル 1.06MB 2分16秒)


第一部
女の愛と生涯より(シャミッソー作詞/シューマン作曲)
『女の愛と生涯』はロベルト・シューマンが1840年に作曲した連作歌曲である。作品42。アーデルベルト・フォン・シャミッソーの詩(1830年)による。シャミッソーの原詩は彼自身の結婚生活に触発されて、夫に尽くす妻の観点を詩としたもの。特徴として、ピアノの独立性が高く、声楽と対等な立場で音楽表現に与っている点がある。
@ 彼に会ってから
恋が始まり、彼の事しか考えられない女性の姿を歌う。
A 誰よりも素晴らしい人
彼は誰よりもすばらしい、だから自分なんて彼にふさわしくないのでは…という女性の不安が歌われている。
B 自分で自分がわからない
彼の愛を手に入れた女性が、喜びを溢れさせている歌。
C この指の指輪よ
結婚指輪をもらった女性が、その喜びの中に浸りながら夫への献身を誓う。
D 手伝って、妹たち
婚礼の日、着付けを妹たちに手伝って、と歌う。
E 優しい人、あなたは
赤ちゃんができたことを、夫に告げる歌。
F 私の心に、私の胸に
はじめて子をもうけた母の情愛を歌う。ニ長調。
G 今あなたは私を悲しませ
夫の死に、茫然とする女性。抑制された悲しみが伝わってくる歌。


第二部
亡き子をしのぶ歌より(リュッケルト作詞/マーラー作曲)
『亡き子をしのぶ歌』 はグスタフ・マーラーが作曲した声楽とオーケストラのための連作歌曲である。歌詞はフリードリヒ・リュッケルトの同名の詩による。原詩はリュッケルトの作った425篇から成る詩集であり、彼の子供のうち2人が16日の内に相次いで死ぬという悲しい出来事のあった後、1833年から1834年までの間に書かれた。マーラーは425篇から5篇を選び、1901年から1904年にかけて作曲した。
@ 今、太陽が明るく昇る
暗い前奏に合わせて、曲の中心となる暗い旋律が歌われる。この旋律は何度か繰り返し登場して、父親の傷心を表現する。やや速度を速めた情熱的な間奏のあと、もとのテンポによる最初の旋律で「私の居間でか細いランプの明かりが消えた この世の喜びの光に幸いあれ」とさびしく歌い終わる。
A 今、私にはよく分かる
やるせない絶望を表すモチーフが現れ、声がそれを引き継いで歌ってゆく。しばしば転調が重ねられ、悔やみの思いが濃くなってゆく。第2節の後半で小さな盛り上がりがくる。最後は低弦のピツィカートのさびしい響きとともに終わる。
B お前の母さんが
歌の出だしで4/4拍子から2/3拍子に変わり、すぐに4/4拍子に戻る。このような拍子の交代は頻繁に行われ、揺れ動く悲しみのこころを反映する。最後は
「おまえ、おまえ、父の宝 あまりにはやく消えてしまった喜びの光」で頂点を築き、次第に力を落としてゆく。
C 子どもたちはちょっと出かけただけだ
静かな感動をこめて、急がずにゆったりと歌が始まる。「子供たちはちょっと出かけただけ、そう私は考える もうすぐまた家にかえってくるだろう」
「天気はよい!心配しなくてもいい!」で新しい旋律が出て、ほぼ同じ形の第2節へと続く。
D こんな嵐の中を
激しい嵐を描く全奏が17小説に及んで流れる。その吹きすさびの中で「こんな嵐の日には、こんな荒れた日には 私はけっして子供たちを外へは出さなかったものだ」と感情的な歌が始まる。ひたすら激しく曲は続き、最後の節で「ゆるやかに、こもり歌のように」なって安らかに終わる。


プロフィール

吉田章一

(よしだ あきかず)Bariton
 鳥取大学教育学部卒業。広島大学大学院学校教育研究科修了。声楽を小松英典、西岡千秋、佐藤晨、吉田征夫、平野弘子の各氏に師事。ソロ・コンサート、ジョイント・コンサートのほか、モーツァルトやフォーレのレクイエム、バッハのヨハネ受難曲、ヘンデルのメサイア、ベートーヴェンの第九等のソリストを務める。オペラでは、モーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」、新倉健「窓」に出演。特に2002年の国民文化祭オペラ公演「ポラーノの広場」では、主役のキューストを歌い圧倒的な成功をおさめた。2004年の再演では、更にバージョンアップしたキューストを歌い、全国レベルで通用する風格を見せた。また、特筆に価するのはドイツリートに対する造詣の深さと演奏力の高さである。既にCDリリースされているシューベルトの「冬の旅」は、高く評価されている。2010年10月韓国にてオペラ「電話」(メノッティ作曲)に出演。鳥取オペラ協会理事。

兼田恵理子

(かねだ えりこ)Piano
武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。新田恵理子、コッホ・幸子の各氏に師事。アザレアのまち音楽祭においては、アザレア室内オーケストラと共演の他、ソロリサイタル等で参加している。現在,後進の指導にあたるとともに、声楽、器楽の伴奏者として各地で演奏活動を行っている。倉吉市在住。鳥取オペラ協会ピアニスト。


ご案内

 吉田章一氏は、鳥取県を代表するバリトン歌手のお一人です。特に、歌曲における力量の高さは定評であり、山陰で最右翼にあるリート歌手だと言って過言でないでしょう。10年以上も前に、カウベルホールからリリースされたシューベルトの「冬の旅」は、専門家筋で高く評価され、中央で活動するリートのピアニストからはほぼ完ぺきだと絶賛されたりしています。そのスキルの高さは既に定評あるものですが、これまで演奏してきたキャリアの膨大さは、尊敬に値します。
 今回のコンサートでは、一部でシューマンの「女の愛と生涯」を、二部では、めったに聴けないマーラーの「亡き子をしのぶ歌」を聴かせてくれます。私にとってマーラーとの出会いは「子供の不思議な角笛」であり、今回の「亡き子をしのぶ歌」だったのです。そんな意味で、今回のマーラーは楽しみです。自分の子供が生まれて間もないころに、こんなタイトルの曲を書くところにマーラーのマーラーたる所以があるのかもしれません。鳥の劇場の中島諒人氏がチェーホフの「かもめ」でこの曲を使い、感動に誘ったことを思い出します。音楽の真髄を何時も聴かせてくれる吉田章一氏のコンサートにお出かけいただき、人間が生きると言う深淵を垣間見られますようご案内いたします。