倉吉 アザレアのまち音楽祭
鶴崎千晴メゾソプラノ・コンサート

Piano 兼田恵理子
2012年5月24日(木)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


 過去の演奏のご紹介
ソプラノ 鶴崎千晴 (第29回アザレアのまち音楽祭2011コンサートより)
♪ 夕映えの中で(シューベルト作曲) (wmaファイル 1.4MB 3分)


第一部
@ リーダー・クライスOp,39より(アイヒェンドルフ作詞/R.シューマン作曲)
1840年に作曲された、ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩による連作歌曲集。
 1,異国で
ハープを模したようなアルペッジョがピアノ伴奏の全曲に貫かれ、その上に故郷を離れ、異郷をさすらう者の心情が歌われる。
 3,森の対話
この曲はドイツに古くから伝わるローレライ伝説を下敷きにしている。夜、深い森で魔女ローレライに出会ったものは、その森から二度と出られないのである。 曲は狩人の若者と魔女ローレライとの対話の形式で書かれ、若者は狩の角笛(Waldhorn)であらわされ、ローレライはなまめかしい分散和音で示される。
 5,月の夜
調性をぼかした始まり方で、極めて繊細な夜の情景を描いている。
 12,春の夜
春の喜びと恋に浮き立つ心が歌われる。
A セレナーデ(フランツ・クーグラー作詞/ブラームス作曲)
『5つの歌曲』Op.106の第1曲。恋する女性が住む家の窓の下で、若い学生たちがセレナーデを歌い演奏するさまを歌う。爽やかで微笑ましい曲。
B まどろみはいよいよ浅く(ヘルマン・リング作詞/ブラームス作曲)
死期が近い女性が、愛する人に早く会いに来てほしいと願う、切なく哀しい歌。
C 歌の調べのように(クラウス・グロート作詞/ブラームス作曲)
『5つの歌曲』Op.105より。つかみどころのない、美しい何かについて歌う。
D サッフォー頌歌(ハンス・シュミット作詞/ブラームス作曲)
『5つの歌曲』Op.94より。ロマンティックな詩の中で、口づけをかわす恋人たちの姿が描かれている。
E 五月の夜(ルートヴィヒ・ハインリヒ・ヘルティ作詞/ブラームス作曲)
『4つの歌』Op.43より。失った恋人を探しさまよう孤独な詩人を描いた歌。

第二部
@ 故郷を離るる歌(吉丸一昌作詞/ドイツ民謡)
ふるさとの美しい自然に別れを告げ、人生の新たな一歩を歩もうとする力強い歌。
A 故郷の空(大和田建樹作詞/スコットランド民謡)
1888(明治二一)年に『明治唱歌(第一集)』にて発表された。秋の風景が描かれ、故郷への思いを歌っている。
B 旅愁(犬童球渓作詞/J,P,オードウェイ作曲)
秋の夜、遠い地から故郷を思うわびしさを描いた作品。
C 野バラ(近藤朔風作詞/W.ウェルナー作曲)
近藤朔風は明治期に活躍した作詞家で、シューベルトの菩提樹や子守歌などの作詞を行った。野バラの香りや鮮やかな色がみずみずしく歌われている。
D 庭の千草(里見義作詞/アイルランド民謡)
明治期の音楽教育は西洋音楽の移入が中心で、外国民謡に日本語の歌詞をつけたものが「文部省唱歌」として学校で教えられており、この曲もそのひとつである。寒さの強まる晩秋に咲き残った白菊の姿から、人が節操を守ることの大切さを説いている。
E 寺山修司の詩による6つのうた「思い出すために」(寺山修司作詞/信長貴富作曲)
人生の孤独感を感じずにはいられないが、詩のクライマックスには人への深い愛情が鮮明に表現されている。寺山修司の寂寥、孤独、はにかみ、ロマンを感じることができる。
1,悲しみ
2,てがみ
3,世界のいちばん遠い土地へ
4,ぼくが死んでも
5,思い出すために
6,種子


プロフィール

鶴崎千晴

(つるさき ちはる)M.Soprano
 武蔵野音楽大学声楽科卒業。声楽を森原紀美子,故藤田みどり,佐伯真弥子,平野弘子の各氏に師事。ジョイント・コンサート,ソロリサイタルほか,鳥取オペラ協会公演「フィガロの結婚」(伯爵夫人・マルチェリーナ)、「アマールと夜の訪問者」(母親),ラクゴペラ「ドン・ジョヴァンニ」(ドンナ・エルヴィラ)、イソップオペラ(よいきこり)、新作オペラ「窓」(母親)に出演。山陰の名手たちコンサート出演。アザレアのまち音楽祭参加。県民による第九2010、2012年米子第九合唱団ニューイヤーコンサートにてヴィヴァルディ作曲グローリアでアルトソロ。コールやまびこ指導者。鳥取オペラ協会理事。

兼田恵理子

(かねだ えりこ)Piano
 武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。新田恵理子、コッホ・幸子の各氏に師事。アザレアのまち音楽祭においては、アザレア室内オーケストラと共演の他、ソロリサイタル等で参加している。現在,後進の指導にあたるとともに、声楽、器楽の伴奏者として各地で演奏活動を行っている。倉吉市在住。鳥取オペラ協会ピアニスト。


ご案内

 鶴崎千晴氏は、近年ますます力量をあげ、音楽作りが充実してきていると感じています。大変謙虚な方ですが、もうそろそろ後輩の指導的な立場に立って、活動してほしいと願っています。県内の第九コンサートでも、ソリストとして起用されはじめ、演奏家としてのスタンスも確立し、ベテランの域に達しようとしています。安心して聴かせていただける歌手のお一人です。これまで鶴崎氏をソプラノと表記していたのですが、ご本人の要請でメゾ・ソプラノと表記しました。確かにソプラノも音域もカバーできますが、低音域の声の太さはメゾなのでしょう。
 今回は第一部でシューマンとブラームスを、そして第2部では日本の歌曲をプログラミングしていただいています。その中で寺山修司氏による作品は、人生の深みを聴く者に鑑みさせるものです。一度、鶴崎氏の歌で聴いた記憶がありますが、心の深いところで、何者かに強く揺り動かされるものでした。これは、ポピュラー音楽には存在しない類の感動を体験させるものです。どうぞお楽しみください。