倉吉 アザレアのまち音楽祭
鈴木雪絵ソプラノ・コンサート

Piano 兼田恵理子
2011年6月17日(火)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


第一部
@アヴェ・マリア(カッチーニ)
 実際には1970年頃ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフによって作曲された歌曲である。ヴァヴィロフの没後十年を経てCD録音されたMaria Bieshu(1996)やイネッサ・ガランテのデビュー盤(1994)では作曲者が"D. Caccini"と表記され、ジュリオ・カッチーニの作として広まった。

Aアヴェ・マリア(バッハ / グノー)
 J.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻の第1曲「前奏曲」を伴奏に、フランスの作曲家.グノーが主旋律を付けて1859年に発表した歌曲。『シューベルトのアヴェマリア』、『カッチーニのアヴェマリア』と並んで3大アヴェマリアと称され親しまれている。

B天使の糧(フランク)
 この曲はフランクが以前作曲していた<荘厳ミサ曲>にあとになってから付け加えた曲で、もとのミサ通常文にはなかった聖体祭賛歌です。テキストは1264年にローマ法王ウルバン4世の要請により聖体祭(Corpus Christi)のために 聖トマス・アクィナスにより作られた賛歌の終わりの2節から成っています。ミサ曲全曲で聴くことより一般の演奏会の独立した曲目としてテノールの独唱曲やオーケストラの曲 として扱われることの方が多いようです。

Cアヴェ・マリア(マスカーニ)
 マスカーニの歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲のメロディーに、マッツォーニが歌詞を付けた歌曲。歌詞の内容は、いわゆる典型的な祈祷文ではなく、マッツォーニによるイタリア誤のオリジナルで、苦しみの中で聖母マリアに慈悲を求める信者の悲痛な叫びが描かれている。

Dオラトリオ「エリア」より(メンデルスゾーン)
 「聞け、イスラエルよ」
 「エリア」は、フェリックス・メンデルスゾーンによって作曲されたオラトリオ。旧約聖書の列王記に登場する預言者エリアの生涯を題材に取っている作品で、オーケストラ・ソプラノからバリトン(ボーイソプラノが入る場合もある)までの独唱者・混声合唱によって演奏される。第2部では、バアルの預言者を滅ぼしたことにより、イスラエルの王アハブに命を狙われることとなったエリアがイスラエルから逃げる場面から、後継者エリシャの目の前で火の馬車により天に上げられるところまでが描かれる。「聞け、イスラエルよ」は、この第2部の中のアリア(ソプラノ独唱)。

第二部
@菫(スカルラッティ)
 元はスカルラッティの作ったオペラ「ピロとデメトリオ」(Il Pirro e Demetrio)の中のアリア。愛する人を、慎み深く美しいスミレの花になぞらえて歌う。

A懐かしい木陰よ(ヘンデル)
 ヘンデルの作曲したオペラ『セルセ』(Serse, Xerxes)第1幕第1場の中のアリア。ペルシャ王セルセ(クセルクセス1世)によって歌われる。調性はヘ長調。詩は木陰への愛を歌ったもの。

B口づけもなく(カタラーニ)
 アルフレード・カタラーニ( 1854年6月19日 - 1893年8月7日)は、イタリアのオペラ作曲家。カタラーニが作った歌曲。

C愛の神よ、ようこそ(チマーラ)
 イタリア近代の作曲家チマーラ。流麗な旋律の歌曲は「ストルネッロ」など知名なものもある。

Dあなたのまなざしには(レオンカヴァッロ)
 ルッジェーロ・レオンカヴァッロ(1857年3月8日ナポリ - 1919年8月9日モンテカティーニ)は、イタリアのオペラ作曲家、台本作家。

Eブラジル風バッハ第5番より(ヴィラ=ロボス)アリア
 1938年作曲、1945年改訂。ヴィラ=ロボスの最も有名な作品である。ソプラノ独唱と8つのチェロのための作品だが、ストコフスキーはアンナ・モッフォと組んだ録音において、「オリジナルは8本のチェロが伴奏する形で書かれている。しかしヴィラ=ロボス自身が、さらに4本のチェロを部分的に追加し、2本のコントラバスによってバスの旋律的な流れを補強しようと考えていた」と述べている。


プロフィール

鈴木雪絵

(すずき ゆきえ)Soprano
 作陽音楽大学音楽学部音楽学科声楽専攻卒業。阿部靖子、森山俊雄、斎求、平野弘子の各氏に師事。
 鳥取オペラ協会公演「フィガロの結婚」「ポラーノの広場」「アマールと夜の訪問者」に合唱参加。「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・エルヴィーラ役、「バスティアンとバスティエンヌ」バスティエンヌ役、「コシ・ファン・トゥッテ」ドラベッラ役、イソップ三部作「北風と太陽」太陽役、「フィガロの結婚」伯爵夫人役で出演。
 現在、美作大学短期大学部非常勤講師。Chou*Chou、シュトラーレン、 TRIO AMISメンバー。鳥取オペラ協会会員。

兼田恵理子

(かねだ えりこ)Piano
 武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。新田恵理子、コッホ・幸子の各氏に師事。
 アザレアのまち音楽祭においては、アザレア室内オーケストラと共演の他、ソロリサイタル等で参加している。
 現在,後進の指導にあたるとともに、声楽、器楽の伴奏者として各地で演奏活動を行っている。倉吉市在住。鳥取オペラ協会ピアニスト。


ご案内

 鈴木さんは、旧姓「浜中雪絵」さんです。ご結婚され、現在は津山市にお住まいです。しかし、音楽活動の主体は鳥取県であります。鈴木さんが、独身時代にモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」で恋する女の業を見事に見せたのを、昨日のように覚えています。歌手には、役を演ずる中でうまく自分音楽を出せる方と、コンサートで最高のコンディションを整えることのできるタイプに別れる気がしています。鈴木さんは、どちらかと言えば、明確な役作りが必要なオペラ公演に向いているのかもと、思っています。先回のサロンは2009年でしたが、盛りだくさんの難曲でプログラムされており、少々しんどいなと感じたものです。今回はプログラミングに工夫があり、鈴木さんの声質に合致した歌曲が選曲なされております。特に鈴木さんのベルカントは、明るく透き通ったコバルトブルーであり、イタリア語の歌にもってこいだと思います。一部のアヴェ・マリアの連唱は、これまで聴いたことのない体験となります。美しい佇まいの鈴木さんならではの、清純な乙女心から、恋を操る老練な女性の歌声を存分に楽しめるものと期待しています。