倉吉 アザレアのまち音楽祭
山城裕子ピアノ・コンサート

2011年6月7日(火)19:30〜 倉吉交流プラザ 700円


第一部
@ゴールドベルク変奏曲より「アリア」(バッハ)
ゴルトベルク変奏曲は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハによるアリアと様々の変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲。主題となるアリアを最初と最後に配置し、30の変奏が展開されている。マリアは3/4拍子 ト長調。出典はアンナ・マクダレーナ・バッハ曲集のフランス風サラバンドである。ただし旋律を用いた変奏ではなくバス声部と和声進行を用いた変奏であり、結果として統一感とバリエーションの豊かさが同居する作品となっている。

A夢(ドビュッシー)
『夢(Reverie)』は、フランスの作曲家ドビュッシーによる1890年頃のピアノ曲。『夢想』または『夢想曲』とも称される。タイトル通りファンタジックなハーモニーにつつまれた美しいメロディーと、フェードアウトするような終わり方がとても印象的な小品です。またこの作品は、その美しさからこれまでにジャズやムード音楽にも編曲され、様々な形で親しまれています。

B水の戯れ(ラヴェル)
『水の戯れ』(仏: Jeux d'eau)は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルがパリ音楽院在学中の1901年に作曲したピアノ曲。当時の作曲の師であるガブリエル・フォーレに献呈された。  ホ長調、4分の4拍子、八分音符=144、きわめて優しく。 ラヴェルは「テンポ、リズムも一定なのが望ましい」と述べており、楽譜の冒頭に、「水にくすぐられて笑う河神」というアンリ・ド・レニエの詩の一節を題辞として掲げている。曲の構成はソナタ形式。また、七の和音、九の和音、並行和声が多用されており、初演当時としてはきわめて斬新な響きのする作品だったと思われる。そのためか、「不協和音に満ちた作品」というカミーユ・サン=サーンスの酷評をも招いた。しかし、今日では「水の運動と様態を描いてこれほど見事な作品はあるまい」(三善晃)という評価もあるように、ラヴェルのピアニスティックで精巧な書法が本格的に開花した作品として、高い評価を得ている。

Cスペイン組曲より「アストゥリアス」(アルベニス)
《アストゥリアス (伝説曲)(西語:Asturias (Leyenda))》は、イサーク・アルベニスのピアノ曲の一つ。元来は、《旅の想い出》作品71の第1曲、前奏曲「伝説」(西語:'Leyenda')として書かれた曲である。

第二部
@子犬のワルツ(ショパン)
 ワルツ第6番『小犬のワルツ』(仏:Valse du Petit Chien)変ニ長調、フレデリック・ショパンが作曲したピアノ独奏のためワルツで、晩年の1846年から1848年にかけての作品である。デルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人にささげられた。
 複合三部形式による。第1部のリズミカルで美しいスケールとトリオの甘いメロディが特徴的である。変ニ長調の右手のモノローグの後に左手のワルツリズムが規則的に現れる。時に右手は人の心を歌い、左手は指揮者であると評される。

A幻想即興曲(ショパン)
幻想即興曲(げんそうそっきょうきょく、Fantaisie-Impromptu)は、ポーランドの作曲家フレデリック・ショパンが1834年に作曲したピアノ曲である。ショパンが作曲した4曲の即興曲のうち、最後に出版されたもの。

Bグノシェンヌ(サティ)
『グノシエンヌ』(Gnossiennes)は、エリック・サティが1889年から1891年に作曲したピアノ曲。サティが24歳の時に作曲した第1番から第3番の3曲は「3つのグノシエンヌ」として有名。
『グノシエンヌ』とは「知る」というギリシャ語の動詞の語幹をもとにして作ったサティの造語である。語源はまた、古代クレタ島にあった古都「グノーソス宮」とも神秘教会グノーシス派とも言われている。古代ギリシャの詩の脚韻を踏んだリズムが伴奏部に使われている。

C超絶技巧より「マゼッパ」(リスト)
『マゼッパ』(Mazeppa)は、フランツ・リストの音楽作品。この題名は複数の作品に付けられているが、ピアノ作品『超絶技巧練習曲』の第4番、および交響詩の第6番が知られている。一連の作品の原型となったのは『12の練習曲』(1826年)の第4曲である。これはまだリストが15才の時の作品で、ツェルニーの影響が見受けられる。また1837年に改作され、『24の大練習曲』のうちの第4曲 練習曲ニ短調(作品1-4)となった。イヴァン・マゼーパのポーランド時代に着想を得たヴィクトル・ユゴーの叙事詩『マゼッパ』に感銘を受けて作曲したと言われ、1840年に改作した際に『マゼッパ』と題名を付けられ、単独で出版された。

Dハンガリー舞曲(ブラームス)
  1番 6番 4番 5番
《ハンガリー舞曲集》は、ヨハネス・ブラームスがハンガリーのロマ音楽に基づいて編曲した舞曲集。もとは四手用のピアノ曲として書かれた。全部で21曲あり、それぞれの長さは1分程度のものから4分程度のものまでとまちまちである。中でも、管弦楽用に別人によって再編曲された《第5番》がとりわけ有名である(曲自体はケーレル・ベーラのチャールダーシュ"Bartfai emlek"による)。


プロフィール

山城裕子

(やましろ ゆうこ)Piano
 米子市出身。武蔵野音楽大学卒業。細田紀美子、八十嶋洋子、宮崎幸夫、ヤーノシュ・ツェグレディーの各氏に師事。1999年渡独、エヴァ・アンダー(ベルリン・ハンスアイスラー国立音大)、ローベルト・シュロット(ベルリン芸術大学)、浮ヶ谷孝夫(フランクフルト国立管弦楽団常任指揮者)の各氏に師事。2002年国際音楽コンクール(パリ)第3位、2003年マリーシェラン国際ピアノコンクール(コートダジュール)プロフェッショナル・ヴィルトウゾ部門第1位。2004年帰国し、東京・米子で帰国記念リサイタルを開催。2005年、フランクフルト国立管弦楽団の日本公演ツアー米子公演でショパンのピアノ協奏曲を共演。現在、鳥取大学非常勤講師。


ご案内

 山城裕子さんは米子市に在住し、毎年の海外公演、国内各地でのコンサート活動を続けるプロフェッショナルのピアニストです。その力量は言うに及ばず、ピアニストとしての立ち位置が毅然と聴衆に向かっている姿が、他の追従を許さない音楽の使徒として愛されているのです。初めてアザレアのまち音楽祭に出演いただいた2005年以来、今日まで安定したコンサートを提供していただいていますが、それもロマン派を中心としたピアノ音楽全盛期の作品を大胆に縦断するプログラミングが、聴く者の心を奮い立たせています。特に印象に残っているのは、2007年の「展覧会の絵」(ムソルグスキー)の演奏です。この演奏では山城さん独自の解釈とアーティキュレーションで、山城風とでもいえる個性にあふれ、聴衆を納得させる力強さがありました。
 今回は、第一部で繊細なタッチが要求されるドビュッシー、ラベルの演奏が期待されます。そして二部ではショパンとリスト、そしてブラームスのハンガリアン・ダンス1、6、4、5番が演奏されますので、期待は膨らんでいます。どうぞ、ピアノの山城ワールドをお楽しみください。