6/10 杉山清香クラリネット・コンサート

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【杉山清香クラリネット・コンサート】

Piano 中橋芳恵

2010年6月10日(木)19:30 倉吉交流プラザ 700円

第1部

@物語と即興(ドートルメール作曲)

Aグランド・デュオ・コンチェルタント(協奏的大二重奏曲) 変ホ長調 作品48(ウェーバー作曲)

  第1楽章 アレグロ・コン・フォコ

 第2楽章 アンダンテ・コン・モート

 第3楽章 ロンド(アレグロ)

 

第2部

@アラベスク第1(ドビュッシー作曲/浦壁信二編曲)

A小曲(ドビュッシー作曲)

Bワルツ 作品69-2(ショパン作曲/野呂芳文編曲)   

Cロンドンデリーの歌(イギリス民謡/浦壁信二編曲)

D幻想小曲集(カール・ニールセン作曲)

 

〔解説〕1部

@ドートルメール:物語と即興(1943)

 マルセル・ドートルメール(1906〜1978)は、パリ国立高等音楽院でN.ガロン、ゴーベール、デュカスらに学んだ作曲家で、伝統的な形式を重んじた多様な作品を残している。また、ナンシー市立音楽院の校長や同市オーケストラの指揮者も務め教育的な著書も残した。この作品は、ナチス・ドイツ占領下のパリ国立高等音楽院の卒業試験曲で、同音楽院教授ペリエに献呈。メランコリックな親しみやすい作品。

Aウェーバー:グランド・デュオ・コンチェルタント 変ホ長調 作品48(1816)

 ウェーバーは、クラリネットのために7曲の作品を残しているが、これはすべて当時の高名なクラリネット奏者ハインリヒ・ヨゼフ・ベールマン(1784〜1847)のために書かれたと考えられている。1815年7月にミュンヘンを訪れたウェーバーは、おそらくここでベールマンに再会し、この作品を作曲した。

〔解説〕2部

@ドビュッシー:アラベスク第1番(1888)

 ドビュッシーが、1888年に作曲した2つのアラベスクの一つ。まだ ロマン派のような味わいがありながらも、独特なセンスの伺える一曲。

Aドビュッシー:小曲(1910)

 作曲されたのは、パリ国立音楽院の定期試験のための試奏の曲としてであった。柔らかく弾みながら浮遊するリズムと移ろいゆく響きが、微妙なニュアンスをかもし出している。

Bショパン:ワルツ作品69−2

 ショパン作曲の有名なピアノ曲の中の一曲。

Cイギリス民謡:ロンドンデリーの歌

「ロンドンデリー」は、アイルランド北西にある州の名前で、そこに古くから伝わる歌。「ダニー・ボーイ」の別名でも知られている。

Dカール・ニールセン:幻想小曲集(1881頃)

 カール・ニールセンはデンマークを代表する後期ロマン派の作曲家。この曲は、1881年頃に書かれた初期の作品で、1981年に出版されている。

プロフィール

杉山清香(すぎやまきよか)Cl

 米子東高等学校普通科を経て島根大学教育学部特音課程卒業。クラリネットを手塚実、村瀬二郎、浜中浩一の各氏に師事。これまでにミンクス室内オーケストラとモーツァルト作曲クラリネット協奏曲、澤カルテットとモーツァルト作曲クラリネット五重奏曲で共演し好評を得る。ライフワークにしている「音楽空間コンサート」は第30回を数える他、「鳥取県の音楽家たちコンサート」、「山陰の名手たちコンサート」、浜中浩一門下生による「音楽の愉しみコンサート」(大阪)ほか県内外で演奏活動を行っている。20097月にはフィルハモニックウィンズ大阪と共にアメリカ演奏旅行に参加、現在も定期的に演奏会に参加している。ヤマハポピュラーミュージックスクール、NHKカルチャー講師。杉山清香音楽教室主宰。米子市在住。

中橋芳恵(なかばしよいえ)Piano

 国立音楽大学音楽学部ピアノ教育専攻を卒業。東京ミュージック&メディアアーツ尚美ディプロマ学科ピアノコース修了。クラシックピアノを三富二葉、和久利幹子、故ウラジミール竹ノ内、窪田隆、酒匂淳の各氏に師事。声楽を生原幸枝、瀬川武、常松喜恵子の各氏に師事。現在後進の指導、伴奏やソロ等の演奏活動を行いながら、鳥取大学大学院地域学研究科地域創造専攻に在籍、作曲を学ぶ。

ディレクターのコンサート案内

 杉山さんもアザレアのまち音楽祭の常連演奏家として定着しつつあります。私はクラリネットといえばジャック・ランスローが好きですが、そのお弟子さんがN響で活躍した浜中浩一氏であり、その弟子が杉山さんという事です。しかし、私には、浜中氏の音楽とランスローの音楽に、落差を感じています。杉山さんのクラリネットの中には、ランスローの面影は見られませんし、ランスローより音が美し過ぎます。どちらかといえば、カール・ライスターに近いのかもと感じたりしていますが、これは私の勝手な感想で、多分当たってはいないが願望としては確かでしょう。

 杉山さんの演奏スタイルでとても気になるのが、物理的に音を出さない時の演奏の姿です。音楽には、音の出ている時間と同じだけの沈黙があり、音はないが音楽のある空間がそのすべてだったりする時があります。その空間を沈黙しながら、飛翔し続ける音楽の流れが見えないときがあります。その空間をどう埋めるかが、毎年のテーマであろうと聴きつづけていますが、今年はどうでしょうか。

 今回のコンサートで一番注目しているのは、ウェーバーの「協奏的大二重奏曲」です。この曲は、題名の通りピアノとクラリネットが対等な関係であり、対峙しあう強烈な個性が無ければ面白みは半減です。ピアノの中橋芳恵さんは、近年めきめき腕を上げているピアニストであり、自己主張も半端でない技術的な裏づけをもっています。そんなお二人のデュオであればこそ、今回の楽しみは倍加することでしょう。