5/29 小西繭香ピアノ・コンサート

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【小西繭香ピアノ・コンサート】

2010年5月29日(土)19:30 倉吉交流プラザ 700円

第1部

@フランス組曲 第5番 ト長調BWV816(J.S.バッハ作曲)

Aソナタ 17 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」(ベートーヴェン作曲)

1802 年に作曲されたこの曲の表現内容に関する弟子の質問に対し、ベートーヴェンは、シェイククスピアの「テンペスト」を読むようにと、答えたといわれている。メランコリックな詩情に満ち、どちらかといえば沈んだ気分を感じさせるが、そこにはまた嵐(テンペスト)のような激情をも表現されている。

第2部

@ノヴェレッテン Op.21  No.8(シューマン作曲)

この曲は、中期を代表する傑作だと言われるが、演奏効果が地味なため、演奏会に取り上げられることはあまりない。ノヴェレッテン(小説)という題名がついているように、曲はいくつかの場面転換をしながら進んでいき、重厚な和音でフィナーレを迎える。時折見せる内向的な部分など、シューマンらしさがうかがえる曲である。

AエチュードOp.25-1「エオリアンハープ」              (ショパン作曲)

『エオリアンハープ(Aeolian Harp)』は、ポーランドの作曲家フレデリック・ショパン『12の練習曲 作品25』の第1番。流れるような美しいアルペジオ(分散和音)が特徴で、後にドイツの作曲家ロベルト・シューマンがこの題名を名付けたとされている。エオリアン・ハープとは、弦楽器の一種であり、自然に吹く風により音を鳴らす楽器のこと。ギリシャ神話の風神アイオロスに由来すると言われている。

Bバラード 第2番 ロ短調 S171(リスト作曲)

 リストはピアノ独奏のバラードを2曲書いており、この曲はギリシャ神話にインスパイアされて作られたともいわれている。圧倒的に演奏される機会の多いこの第2番は、あの有名なロ短調ソナタが完成された1853年に書かれた充実した作品。曲は、大きく息の長い男性的な旋律と優美で可憐な女性的な旋律が対照的に現れ、半音階やオクターブなどの様々な技巧に混じって、幻想的で激しく劇的に広がっていく様を見せてくれる。

プロフィール

小西繭香(こにしまゆか)Piano

倉吉東高等学校、鳥取大学卒業。横浜国立大学大学院修士課程修了。2004年全日本彩明ムジカコンコルソ第1位。2005年日本ピアノ教育連盟オーディション全国大会出場。2005年第2回鳥取県ピアノ・オーディション優秀賞。2008年度丸ビル35コンサートレギュラーピア二スト。2009年、ラ・フォルジュルネエリアコンサートに出演。これまでに辻阪乙絲子、門脇智美、西川秀人、黒田亜樹、森川和子、山城裕子、大瀧郁彦の各氏に師事。

 

ディレクターのコンサート案内

 小西繭香さんは、昨年のミニ・リサイタル・リレーコンサートに出演された方です。その折、表情豊かで素敵なピアノを聴かれた実行委員の方々から、ぜひじっくり聴きたいとの要請で、今回のコンサートが実現しました。小西さんの存在は、鳥取県ピアノオーディションで入賞する以前から知っていましたが、その成長のスピードが速く、演奏家としてのイロハを身につけての登場にびっくりしたものです。聴衆を意識した音楽づくりが無理なく行なわれ、聴衆に媚びるのではなく自分の音楽世界に誘うテクニックと共感させる息づかいが、私たちの感情曲線と共鳴させてしまう上手さなのかもしれません。これは、いかに多くの本番を体験し、その修羅場をかいくぐり、聴衆の温かい懐に飛び込んできたかが問われることなのです。そんな意味では、多分多くの聴衆と触れ合ってきているのでしょう。小西さんのピアノを聴いていると、寒い季節に重さを感じないダウンジャケットを着ているような、温かく包まれる、柔らかな空気の響きに包まれたような気になるのです。これは凄いことです。自分の言いたいことだけをがなるピアノが多い中、聴衆の感性に優しく語りかける小西さんの語法には感動させられます。まだまだ発展途上の余地を残しながら、その位置でしか表現できない自分の音楽を、素直に語れるほど素敵なことはありません。

 今回のコンサートでは、「テンペスト」(ベートーヴェン作曲)や「エオリアンハープ」(ショパン作曲)が楽しみです。特に「エオリアンハープ」は、小西さんの感性にぴったりの曲ではないかと期待しています。音楽を楽しませると言うことでは、小西さんは絶品のテイストをもった音楽のシェフかも知れません。どうぞお楽しみください。