5/26 新田恵理子ピアノ・コンサート

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【新田恵理子ピアノ・コンサート】

2010年5月26日(水)19:30 カウベルホール 700円

Chopin Abend  〜ショパンの夕べ〜

第1部

前奏曲集より

@第番 イ長調

A第10番 嬰ハ短調

B第11番 ロ長調

C第15番 変ニ長調 雨だれ

Dワルツ 嬰ハ短調 作品64-2

E華麗なる円舞曲 作品34-1

F夜想曲 ヘ長調 作品15-1

Gポロネーズ イ長調作品40-1 軍隊

第2部

@マズルカ ハ長調 作品24-2

Aマズルカ 嬰ハ短調 作品63-3

Bマズルカ ヘ長調 作品68-3

C練習曲 作品10-3 別れの曲

D練習曲 作品25-1 エオリアンハープ

Eバラード第1番 ト短調 作品23

ショパンは、ピアノ音楽に比類ない境地を開いたポーランド出身の作曲家であり、ピアニスト。主要な作品のほとんどがピアノ曲であり、その個性的で斬新な書法はリリシズムを基調に、雄々しさ、気品、メランコリーなど多彩な性格をあわせもち、「ピアノの詩人」とたたえられ、世界的に親しまれている。どの曲も、一度はどこかで聴いたことがあると思わせられるほど、聴きなれたメロディが満載である。

プロフィール

新田恵理子(にった えりこ)Piano

武蔵野音楽大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業 倉吉市在住。ソロリサイタル、室内楽、声楽・器楽の伴奏など、各地で幅広い演奏活動を行なっている。内外のオーケストラとの共演も数多く、そのうち、ザルツブルク室内オーケストラ、下北山弦楽オーケストラとのライブ録音が、カウベルホールよりCDリリースされている。後進の育成にも力を注ぎ、各地で門下出身の若手ピアニストが活躍している。主宰するハーモニッシェの会においては、若手演奏家のジョイント・コンサートや、ピアノ・リサイタル、来日演奏家との交流コンサートなどを企画している。全日本ピアノ指導者協会正会員、同鳥取県支部事務局。鳥取オペラ協会ピアニスト。ハーモニッシェの会主宰。

ディレクターのコンサート案内

 新田さんは、毎回ギリギリまでプログラムを練っています。一見優柔不断に思えますが、練りに練ったプログラミング構築のための試行錯誤のためのようです。新田さんと言えば、会えばいつもにこにこして満面の笑みを携え、あっけらかんとしているように見えます。しかし、かなり深いところで悩み、苦しみ、歓びや悲しみを超えた次元での音楽作りをしているように思われます。ですから、いつも誰かと一味違う新田流のテンポとダイナミズムを持ち、聴くものの心の襞(ひだ)に語りかける言語をものにしているのでしょう。

 先日、凄まじいばかりのテクニックと、才気走ってギラギラした音楽をぶつけてくるピアニストの演奏を聴きました。とてもじゃないが聴いていられないほど押し付けがましい音楽に、もううんざりしてしまった。その時、新田さんの音楽は、これとはかなり違うな、もしかしたら対極にあるなと、感じた。それは、若いピアニストが憧れのピアニストを目指し、技術的にてクリアする。すると今度は、自分の思いのままにテクニックが操れるようになる。表現の思いとそれを可能にする技術的な力量が備わると、自我を出すことが自己表現だと誤解する。いわゆる若気の至りに、留まっているだけの演奏になっていたのだ。自我を出すことは、技術的な問題をクリアすれば、誰だって出来ることだし、それは良い演奏とはいえない。新田さんのピアノの凄さは、実はそこにあると感じているのです。曲のもつ内面的な訴えを、どうすれば聴衆に伝えられるのかと言う葛藤が出来ているのです。演奏者の「テンポとリズム」を、聴衆の「テンポとリズム」にシンクロさせる天性の感性が備わっているのではないかと感じるのです。ですから、たとえどんなミスタッチがあろうと音が抜けようが、その演奏にとって致命傷にはならない。なぜなら、直接に音楽を聴衆の心に共振させ、聴衆自身に潜在する内的な音楽を共鳴させ、動かしてしまうからなのでしょう。

 今回のコンサートは、新田さんの原点とも言うべきカウベルホールでの公演です。それは、ホールが出来た時、命を受けて浜松まで行き、輸入されたばかりのスタインウエイの中から自らが選んだピアノを演奏するのです。大変思い入れのあるコンサートになります。それに、ショパン・アーベントと呼ぶべきオール・ショパンのプログラムは、聴衆にとってこの上ない歓びでしょう。

 最高のホールで、私たちの鼓動に連鎖してくる音楽の躍動感を、どうぞお楽しみください。