倉吉 アザレアのまち音楽祭
第25回 倉吉 アザレアのまち音楽祭2007
ごあいさつ

平成19年4月

アザレアのまち音楽祭 25年という夢のような歳月

アザレアのまち音楽祭企画実行委員会 会長 金澤瑞子

 ご来場のみなさま、ようこそお出でくださいました。
 ことしも「アザレアのまち音楽祭」が開催できましたこと、うれしゅうございます。心よりお礼と、こうしてご一緒に音楽が楽しめるひとときを、感謝申し上げます。
 この「アザレアのまち音楽祭」も、今年で25周年を迎えます。夢のような歳月だったと、只々そう思うばかりで、夢中に過ぎたという事でしかございません。
 しかし、この25年間というものは、実に多くの若い演奏家との出会いがございました。友が友を呼ぶかのように、中央で活躍している方々も、スケジュールを合わせて下さいます。音楽祭の趣旨にご賛同いただく地域在住の演奏家からの、多くの協力申し入れに、篤く感謝申し上げます。
 一方、当初の40代のスタッフも、もう65歳です。会場設営のあと、腰を叩いているのを、そっと横目で見ない振りをしながら、それよりもまだ一回り年上の私は、己の不甲斐なさを何処かに置き忘れているようで、ことしも仲間に入れていただいております。
 さて、今年の新しいプログラムいかがでございましょう。どうぞ、ご家族で、アザレアのまち音楽祭のお友達でゆっくりご鑑賞くださいませ。
 新しいステージも数々ございます。会場も三朝町や北栄町も加わりました。
 年々美しい響きを増す「アザレア室内オーケストラ」の指揮者「松岡究氏」は、三年間に亘るドイツ留学の成果を、今年のオープニングで遺憾なく発揮していただける事と楽しみにしています。
 2003年から倉吉市との協賛事業となりました。NPO法人化も目指しております。
 今後とも何卒、一層のお力添えとご支援をよろしくお願い申し上げます。
 どうぞ、どうぞお楽しみ下さいませ。






平成19年4月

必要不可欠なものとして芸術を存在させたい

アザレアのまち音楽祭 芸術監督 計羽孝之

 人間の祖先はサルだと言われます。それも、外敵に襲われても木に登れなかった不器用なサルなのです。逃げ場を失った不器用なサルが人間に進化したのは、必要に迫られて身を守る智恵を身につけたからです。身を守る知恵とは、想像力であり、観察力、知識、理解力、そしてコミュニケーションする能力なのです。それは、まさに「生きると言う芸術力」の誕生であり、表現者として己のイマジネーションを、誰かに伝えようとする「こころの力」を得た時でもあります。「切実な思いを、押さえがたい叫びを、祈りを聴いてくれ」と思う「こころ」が芸術となるのです。そして、お互いの叫びや祈りを理解し合い、平和なコミュニティを作り出すために芸術は存在し、社会的な力を手にしています。
 未来に向かった人づくりは、どちらかと言えばファイトではなく「ファンタジー」であるべきだと考えています。アザレアのまち音楽祭の運営を通して、地域の様々な活動に携わる人達が、芸術する力を身に付け、文化活動の核となってファンタジーを追い求めていただきたいのです。その先にあるものこそが、豊かな人生への道なのです。ファンタジーで得られるものは、人生のキャパシティの広がりと、喜びの感受性が豊かになる事です。誰もが求める自己実現の歓びが、正にそこにあります。ファンタジーを求めるのに、なんの準備もいりません。ワクワク、ドキドキしながら、アザレアのまち音楽祭にお出で頂ければいいのです。コンサート直前の「心のときめき」こそが、何者にも変えがたい喜びを吸収する海綿となり、音楽が始まれば、ひとつの音楽を共有する「たおやかなコミュニティ」が創出されているのです。
 アザレアのまち音楽祭は、基本的にクラシカル音楽のお祭りです。生音の魅力を直接伝えるのが、アザレアのまち音楽祭の醍醐味です。CDやTVで、初めてクラシック音楽に触れたと言う人たちが、アザレアのまち音楽祭に参集し始めています。なんと言っても、その魅力の根源は、「気波動」と言われる機械で増幅しない「演奏されたままの振動」を、直接その身いっぱいに浴びる快感なのです。機械では再現し得ない、気波動が伝える感動を、アザレアのまち音楽祭で多くの皆さんに体験して欲しいと願っています。
 アザレアのまち音楽祭は、芸術監督制度を採っています。音楽祭全体の企画バランスや各種コンサート公演の芸術的成果を見定め、最善のプログラムを構築して、その全般に責任を担うのが目的です。しかし、アザレアのまち音楽祭では、拠点となる会場施設オーナーや演奏家たち、聴衆とコンサート・パトローネ(資金援助者)たちを美しく調和させるのが芸術監督の大きな仕事でもあります。音楽祭は一部の音楽愛好家を対象にして、社会と離れて存在しているのではないのです。アザレアのまち音楽祭が存在する倉吉市やその地域と密接に絡み合った社会文化を作っていかなければ、芸術監督の役割は果たせないのです。音楽祭全体の芸術的成果を達成するのは勿論ですが、私たちの住まう地域における公論の形成や公共的価値の創造に、深く関与しなければなりません。そうすることによって、初めてアザレアのまち音楽祭は、無くてはならない仕組みとして、社会から容認されるのだと考えています。学校、図書館、病院、福祉施設等々と同じように、私たちの地域の生活に不可欠なものとして存在し、社会に開かれた公共財として音楽祭を認知していただきたいと願っています。アザレアのまち音楽祭の芸術監督の役割は、地域社会にとって音楽を生活に必要不可欠なものとして存在させる努力が、その使命となります。そして、倉吉と言う地域社会を、芸術文化の環境改善最先端として全国に発信しなくてはなりません。





平成19年4月

倉吉市長あいさつ

倉吉市長 長谷川 稔

 今年で記念すべき第25回を迎える「アザレアのまち音楽祭」が、盛大に開催されますことを心からお喜び申しあげます。
 「アザレアのまち音楽祭」は、市民が自ら作りあげる音楽祭として回を重ねるたびに内容が充実し、今では倉吉を代表する春の風物詩としてすっかり定着しました。
 本市の音楽文化の向上に貢献されてきた関係者の皆様の、たゆまぬ努力に対して深く敬意を表する次第です。
 私たちの日々の暮らしにおいては、心の豊かさや生活の質の向上が重視されるようになり、人々の文化に対する関心や期待はますます高まってきております。
 まちの文化の中心をなす芸術は、私たちの生活にゆとりや安らぎをもたらし、人生を豊かにし、文化振興を牽引する役割をも担っています。
 中でも、地域に根ざした芸術活動は、それ自体が固有の価値をもつだけでなく、地域への誇りや愛着を深め、「まちの文化」として市民共通のよりどころとなります。
 文化振興の推進には、市民が主体となり、市民、事業者及び行政が各々の役割を果たしつつ互いに補い合い、協働して取り組むことが大切ですが、「アザレアのまち音楽祭」は、まさにその先進的な取り組みとして注目されております。
 第10次倉吉市総合計画において、「豊かな心と文化を育むまちづくり」を基本目標のひとつの柱として掲げ、「魅力ある文化資源を活用した文化の振興」に取り組む本市にとって、「アザレアのまち音楽祭」が継続して開催されることは非常に有意義であり、今後ともその環境づくりに努めて参りたいと考えております。
 「アザレアのまち音楽祭」が地域に密着した音楽祭として、より多くの市民の方々に親しまれ、ますます発展していくことを心より祈念して、お祝いのご挨拶といたします。